「久々に泣ける!」と話題を呼んでいるドラマ『silent』(フジテレビ系・木曜22時~)。TVerでの初回見逃し配信再生数は民放歴代最高の443万回以上を記録した。
高校の同級生から恋仲となった青羽紬(川口春奈)と佐倉想(目黒蓮・Snow Man)は、卒業後、突然想から別れを告げる形で破局してしまう。8年後に再会するも、想は病気によって耳が聞こえなくなっていた。
紬に会いたくなかったと想が涙するシーンでは、視聴者も号泣。川口春奈のリアルなヒロイン像に感情移入し、目黒蓮の優しい笑顔に胸を締め付けられる。2話、3話も切ないシーンが続き、Twitter世界トレンド1位を3週連続で獲得した。
そんな、今期最注目ドラマ『silent』が泣ける理由とは? プロデューサーの村瀬健さんが解説してくれた。
【泣ける理由1】共感できるリアルなセリフ
紬が高校時代を回想したときのモノローグ「今思うと、学校っていうのはすごい場所だった。嫌でも週5で行く場所で、嫌でも週5で、好きな人に会える場所だった」をはじめ、世代を問わず共感できるセリフが本作の魅力。
「なんでもない言葉で、なんでもなく語ったような何げない表現で物事の本質を突いてくる。ラブストーリーであるこのドラマの世界と、視聴者が生きている現実とが見事にクロスオーバーする言葉でもあります」(村瀬さん・以下同)
【泣ける理由2】感情があふれる手話
再会したときの動揺やこれまでの悲しみを、一方的に手話で伝えてしまう想。そんな彼とまた心を通わせようと、紬は必死に手話を勉強し始める。手話を通じた感情表現は、このドラマに引き込まれる要因のひとつになっている。
「目黒くんはドラマの出演が決まったと同時に、『一日も早く手話を始めたい』と言ってくれたので、クランクインする数カ月前から練習をしました。今では手話指導のろう者や失聴者の方々と通訳なしで雑談するほどになっています」
【泣ける理由3】シンプルで丁寧な演出
想と別れた後、紬は同じく高校の同級生だった戸川湊斗(鈴鹿央士)と交際し時間を重ねていた。8年ぶりの再会により揺れ動く3人の感情を、本作は丁寧に追っていく。
「実は僕たちは、泣かせよう、と思って作っていません。ただただ『人の心を丁寧に描く』ことを意識し、それを過剰な演出で殊更に強調することなく、シンプルな表現で映像化しています。実は結構なチャレンジだったので、こうして受け入れてもらえたことを心からうれしく思っています」
脚本を手掛けるのは、なんと29歳の新人・生方美久さん。オリジナル作品で連ドラデビューという大抜擢だが、村瀬さんは「天才」と絶賛する。
「生方さんの脚本は、まず何よりもセリフがいい。また、物語の構成を作るのも非常にうまい。いわゆる伏線ですね。2話の、想が告げた『好きな人がいる、別れてほしい』の“好きな人”が紬のことだった、とか。これを最初に彼女の口から聞いたとき、背中に汗が流れたのをよく覚えています」
また、ネット上では紬の誕生日である4月28日の誕生花が「サクラソウ」(=佐倉想)であることも話題に。考察しがいがあるところも、本作の大きな魅力だ。
「この先も、まだまだいろいろな仕掛けやアイデアが盛り込まれてきますので、ぜひそれも楽しみに見ていただけたらうれしいです」