東京大学医学部附属病院の門から車で出てくる際に、いつもと同じように窓を開けて会釈されていた天皇陛下。しかしそのご表情には、心なしかお疲れのご様子が浮かんでいたーー。
11月27日から28日にかけて、前立腺の組織を採取する検査(生検)のため、陛下は東大病院に1泊2日で入院されていたのだ。陛下はこれまでの検診で、前立腺に関する数値に“やや懸念すべき傾向”が見つかっていた。
11月初旬にMRI検査を受けられた後に、宮内庁は「前立腺の肥大が認められたが、特に懸念される所見はなかった」と発表していたが——。
「幸い今回の検査でも、がん細胞は見つからず、異常は認められませんでした。雅子さまと愛子さまもこの間心配されてきましたから、安堵されたご様子だったと聞いております」(宮内庁関係者)
今回陛下が受けられた生検とは、病変が疑われる体の一部を採取し、顕微鏡などで精密に調べるもの。体にかかる負担も大きい検査だという。泌尿器科の専門医である飯田橋中村クリニックの中村剛院長はこう話す。
「前立腺の生検は、下半身を超音波で確認しながら、多い場合は数十カ所にわたって針を刺し、組織を採取します。部分麻酔や全身麻酔をして行いますが、麻酔が切れると痛みを伴うこともあります。
一般的には、MRI検査で前立腺がんの所見がなければ生検を行わないケースが多いです。しかし、画像だけを見ての診断では、絶対に見落としがないとは言い切れません。陛下の場合は、念には念を入れて生検を受けられたということなのでしょう」
異常が見つからなかったとはいえ、雅子さまや愛子さまのご不安がすべて晴れたわけではない。前出の宮内庁関係者は、
「上皇さまが前立腺がんの手術を受けられた前例もありますから、今後も慎重に経過観察を続けられることになりました。しかし陛下はご公務や宮中祭祀など、多くのお務めを日々こなされています。激務のためにご体調を崩されないよう、ご一家で健康管理に努められる決意を新たにされているように拝察しています」
体調への不安を抱えられる陛下をお支えするために、すでに雅子さまは行動を起こされていた。
「皇居の外で開催される行事の際は、当初は“陛下お一人で”と公表されていても、当日に“両陛下でお出ましになる”となって、雅子さまがご出席されるケースが増えています。
たしかにいまも、雅子さまのご体調に波があることは事実です。しかし、国民との交流や、海外からの賓客をもてなすような大きな行事が控えている場合、体調を整えて確実に出席され、皇后としてのお務めを果たされています」(前出・宮内庁関係者)