「今のところまだ在庫はありますが、品薄になってきている状況です」
大手ドラッグストア関係者は、市販の解熱剤が徐々に減ってきていると明かす。
12月14日、厚生労働省は新型コロナの感染者増加などの影響で、どうしても卸売業者から薬が購入できず患者に用意できない恐れのある医療機関や薬局向けに、業者からの入手をサポートするための相談窓口を設置した。解熱鎮痛剤や咳を抑える薬が入手しづらい状況になっているということが背景にあるという。
厚労省の担当者に現在の状況について話を聞いた。
「今回の相談窓口はあくまでも医療機関と病院の処方箋を受け付けている薬局が対象ですが、解熱鎮痛薬などが入手しにくいという声が出ていること自体は事実です。地域や薬局の規模にもよるので、どの地域でどれくらいということは把握していませんが、それなりに相談はきているという状況です。
メーカーも頑張って増産していますし、決して出し渋っているということではないのですが、コロナの感染者が増えている中で需要が上回ってしまっているのだと思います。
薬局で処方箋の薬がない場合は、他の成分、例えばカロナールのアセトアミノフェンがなければ、イブプロフェンやロキソプロフェンなどで代替できるなら、そちらに切り替えて対応していただいている薬局もあると聞いています。しかし、こちらに相談がきているということは、解決できていない薬局があるということだと思います」
患者の目線で言えば、病院から処方箋をもらって薬局に行っても、薬が入手できないケースが起きているということだ。
全国の新型コロナ新規感染者数は12月に入り4カ月ぶりに20万人を越えた。SNSでは、
《近所の薬局では解熱剤最後の1個だった》
《イヴの棚空っぽだった》
《解熱剤おひとり様3個までってなってた》
など、市販の解熱剤も品薄になっているという投稿が散見される。年末年始を目前に、ドラッグストアなどでの市販薬の需要もさらに高まりそうだ。前出の関係者とは別の薬局関係者によると、
「解熱剤が全く買えないという状況ではないです。種類はたくさんありますからね。ただ少なくなってきている商品や、ほぼ在庫がなくなりかけている商品もあります。全体的に品薄になっていることは事実なので、うちでは”1家族2個”と制限を設けています」
また、別の大手薬局関係者も解熱剤は同じく品薄状況だと言う。
「商品によっては”おひとり様2個”などの制限をかけています。現時点ではまだ解熱剤が手に入らないという状況ではありませんが、本部からは“中国での需要の高まりの影響もあるので、一部の商品の販売個数の制限をかけるよう”指示がありました。年末年始にかけてさらに品薄になっていくと予想され、一時のマスクのように買い占めが横行するのではないかと懸念しています。どうしても必要な人は、必要な分を早めに買った方がいいかもしれません」
前出の厚労省担当者は、「年末年始で病院が休みになるのに備えて今のうちに買っておきたいと思う消費者の行動が実態としてあるのは感じている」とした上で、買い溜めは絶対にやめてほしいと警鐘を鳴らす。
「薬局もドラッグストアもできるだけ多くの方に解熱鎮痛剤が広く渡るようにしたいという思いがあると思います。医療機関の皆さんも、薬局の皆さんも、メーカーも、皆さん一生懸命やっています。私どもも休日返上でこれをやることになると思います。煽る報道も含め、1人で10も20も買いだめをするような行為だけはどうか控えていただきたいと思います」
くれぐれも慌てず、必要なら必要な分だけを備えよう。