セ・リーグ首位の阪神タイガースの勢いは増すばかりだ。5月25日、神宮球場でのヤクルト戦も延長10回2死走者なしからつないで勝ち越して勝利。今シーズン2度目の5連勝で、貯金は14とした。
前夜の一戦も9回2死走者なしから新外国人選手のシェルドン・ノイジー外野手(28)が三塁打を放ち、佐藤輝明内野手(24)の逆転打で勝利。この日も佐藤輝の勝ち越し3点二塁打で2日続けてヒーローインタビューを受けた。ここ最近13試合で12勝1敗と驚異的な成績を残して、5月30日からのプロ野球セ・パ交流戦前の首位スタートが確定。笑いが止まらないのは今年から指揮する岡田彰布監督(65)だろう。
去年までセ・リーグ2連覇のヤクルト相手に同一カード3連勝したことに「別に変わったこともやってないし。ピッチャーもそらずっと抑えられない。昨日、今日とみんなでつないで仕事をやっている」と語った。前日も「でっかい1勝やな。大きいより、もうちょっとでかいなあ」とネット上でも好評な“どんでん語”で喜びをかみしめた。
ところが、球団OBは「岡田監督はまだ本気を出してない」という。どういうことなのか。
「24日の試合でも同点に追いついた4回、投手の西勇輝(32)がチャンスで二併殺に倒れるシーンがあった。あれ、岡田監督が本気モードだったら『三振して来い!』と伝えて、絶対バットを振らない。だけど、余裕があるからそのまま行かしている。チーム内でも『今は流れに乗るままでやっていれば勝てるよ』と楽観ムードがベンチで流れている。やることなすくと全部いい方向に転がっているからね」
ただし、これが岡田監督本来の姿だとなめてかかっては「若虎はカミナリを落とされるだろう」と話す。
「岡田監督は勝負どころだと鬼の形相になり、ベンチで戦況を見つめるようになる。今は選手が喜ぶ姿に頬を緩めているけど、そんなことは絶対にしなくなる。まだベンチの采配で勝った試合も少ないし、怠慢プレーなどいい加減なことをやっていたら即ベンチに下げられたり、二軍行きを通達されたりもする。若手は震えあがると思う」
本領発揮するまでもなく勝ちまくる姿に阪神ファンはスタンドで余韻に浸れるが、グラウンドで戦う選手たちの表情が一変する日はいつやってくるのだろうか。もっともそんなことせずしても首位を快走すれば、岡田監督にとってもこの上なく楽な試合運びであることは言うまでもない。