老後の家選びのポイントは(写真:アフロ) 画像を見る

「持ち家の方は、購入時の資金や住宅ローンが重荷になり、賃貸に比べローン返済中のキャッシュフローがよくありません。ただ、完済後は住居費の負担が少なくなります。いっぽう、賃貸の方はライフステージに応じた身の丈に合った物件選びや、家賃の見直しがしやすく、現役時代のキャッシュフローはいいのですが、人生の最後まで家賃を払い続けねばなりません。人生100年時代、リタイア後の期間が長くなると『持ち家が安心』という人が増える傾向がありますが、若いうちは賃貸が楽。どちらも一長一短で、経済的には甲乙つけがたいというところでしょう」

 

そう話すのは住宅ローンなどの相談も多いというファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんだ。

 

’22年「不動産の日アンケート」によると、今の住まいに関係なく「持ち家派」が77.9%で、「賃貸派」が22.1%。やはりマイホームを持ちたい人が多いようだが、中高年には別の悩みが浮上する。

 

「老後、介護が必要になったとき、どこで介護を受けたいか。どこで死にたいかです」(黒田さん)

 

わが家で死にたいという人も、持ち家を売却し高齢者施設で最期を迎えたい人もいるだろう。

 

「終の棲家を決めるには経済的な状況だけでなく、その人の生活スタイルや価値観などが重要です。迷いもあるでしょうし、きっぱりどちらと決めきれない人も多いと思います」(黒田さん)

 

高齢者のいる世帯の8割以上が持ち家で暮らしているというデータもある。今後も、持ち家で暮らし続けるべきか売却して賃貸に移るべきか、黒田さんと不動産仲介業も手掛けるファイナンシャルプランナーの永田博宣さんにアドバイスをもらいながら、さまざまな要素を盛り込んだ次のチェックリストを作成した。

 

【持ち家 vs. 賃貸“マル得”チェックリスト】

 

・持ち家向きな人

□〈1〉年金は多いほうだ。あるいは年金が少なくても貯蓄には余裕がある
□〈2〉子どもに相続させ、子は実家に住まわせる
□〈3〉死に場所はわが家がいい
□〈4〉マイホームを新築で購入した。売却してもローンが残る
□〈5〉老後も働けば、貯金の取り崩しで平均寿命まで生活できる
□〈6〉おひとりさまで、すでに持ち家がある
□〈7〉持ち家に修繕が必要なところがある
□〈8〉今の住まいに満足

 

・賃貸向きな人

□〈9〉元気なうちに高齢者住宅に住み替えたい
□〈10〉年金も貯蓄も少なく、財産はマイホームだけ
□〈11〉子どもが誰も実家に住む予定はない
□〈12〉老後は駅近、病院が近いなど利便性の高いところに住みたい
□〈13〉断捨離好きで、ミニマリスト
□〈14〉賃貸で試してから地方に移住したい
□〈15〉生涯現役で働きたい
□〈16〉大地震などから不動産を所有するリスクを感じている

 

チェックした数が高かったほうが、自分に向いている老後の家だ。それぞれの要素を見ていこう。

 

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