宝塚歌劇団の劇団員Aさん(享年25)が9月に急死した問題で、劇団側が年内にも第三者委員会を設置することが11月20日にわかった。
Aさんが所属していた宙組に加えて、花、月、雪、星組と専科の全俳優約400人らから聞き取りを進めている宝塚歌劇団。「共同通信」によると宝塚音楽学校の生徒も対象にし、過密な公演日程や過度な指導などの実態を調査し、組織風土の改善につなげるという。
しかし、世論が納得するかどうかは疑わしい。今回設置される第三者委員会は、あくまでいじめやパワハラ疑惑について調査するものではないためだ。
そもそもAさんを巡っては今年2月、上級生からヘアアイロンを故意に額に押し付けられていたと『週刊文春』が報道。このときから劇団側は、一貫していじめの事実を否定しており、Aさんが9月30日に自宅マンションから転落死した後も哀悼の意を示したものの、いじめ疑惑については真っ向から“なかった”と主張し続けている。
さらに11月14日に開かれた会見でも、Aさんについての調査報告書を公開した上で、劇団側は「ヘアアイロンで火傷をすることは劇団内では日常的にあること」との理由で、いじめやパワハラはなかったと説明。遺族側が同日に会見で再検証を求めていたが、新理事長に就任予定の村上浩爾取締役(56)は会見で「そのように言われているのであれば、証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」とまさかの反論を見せていた。
遺族側に証拠を求めた劇団の姿勢に対して、SNSでは《いじめられたと言うならそちらが証拠を出せ!と来るか。もうイメージとかどうでもいいのかね?》《死人に口なしってか》と非難の声が殺到していた。
それでも、今回設置される第三者委員会でもいじめについての調査は行わない方針を貫く劇団サイド。こうした劇団の対応を疑問視する人たちが相次いでいる。
20日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、コメンテーターの玉川徹氏(60)は「遺族の方々は再調査を求めている。命が失われているわけで、それが宝塚にかかわっていることは間違いないわけですから。それは労働時間だけの問題なのか、ほかの問題があるか、不十分だということが多くの識者から指摘されているし、私もそう思う」と発言。
また山口真由氏(40)も同番組で「物凄い組織的な上下関係があって、そこがまず構造的な問題として背景に大きくあって、その延長線上に今回の悲劇があったと考えるのが妥当。どちらかを調査してどちらかを調査しないみたいに限定してやるのは、調査対象の範囲としていかがなものか」と対応を疑問視していた。さらに、ネットでも厳しい声がこう上がっている。
《第三者委員会を設けるも、先の会見で批判されていた点についての再検証などの為ではなく、別の用途での設置との事。批判されている点を考慮出来ず、強引に事を収めようとしている》
《飽くまで、今回の件は過重労働の問題であり、いじめなどはないという話にしたいんだな》
《今までは通用してきた「強い物言いや指導」が、今の基準ではパワハラやいじめに当たるという難しさもあるんだが、それを劇団側が認めない限りはいつまで経っても平行線では?》
《過重労働だけでなく、今回の案件で何が起きたのか、きちんと検証して下さい》