秋晴れの下、皇居・桃華楽堂に天皇陛下と雅子さまをはじめとして、上皇ご夫妻、秋篠宮ご夫妻ら、皇室の方々がお見えになった。11月20日に開かれた、皇宮警察音楽隊の創設70周年記念演奏会を鑑賞されるため、久しぶりに公の場でご家族が一堂に会されたのだ。
会場の扉が開くと、先頭を陛下と雅子さまがいつもよりゆっくりとお席に向かって歩かれている。座席に向かう階段を上り始めたとき、雅子さまが後ろを振り返られた。
「上皇さまと美智子さまが階段を踏み外されないよう、雅子さまはお手を伸ばして誘導されていました。上皇ご夫妻がお席に座られるまで、慎重に気遣われていらっしゃったのが印象に残りました。また、コロナ禍の間はご家族で集まれなかっただけに、控室ではさまざまな会話を楽しまれていらっしゃったと伺っています」(宮内庁関係者)
マスク越しにも見て取れるほど、雅子さまのご表情は明るかった。
2003年12月3日、帯状疱疹の診断を受け、ご公務を取りやめてご療養に入られた雅子さま。その翌年には適応障害の診断を受け、ご症状との闘いの日々がこれまで続いてきた。
20年前から一時期失われてしまった笑顔の輝き。雅子さまは陛下と愛子さまのご助力を得ながら、着実に取り戻されていた。その証左が、上皇ご夫妻を気遣われていた光景に見て取れると、精神科医の香山リカさんは指摘する。
「私が診てきた方のなかにも、“周囲の人のために力になりたい”と希望される方がいらっしゃいます。しかし回復の途中と判断される場合は、『もう少し回復してから取り組んでみてはいかがでしょうか』と提案します。
雅子さまが上皇ご夫妻のお足元を気遣われていたということは、着実に回復されているいちばんの証拠であると思います。主治医の方もご体調を診ながら、雅子さまのお気持ちに添うアドバイスをしているのでしょう」
雅子さまはご体調が整わないために、ご公務の取りやめや行事の開始直前での欠席を余儀なくされることがたびたびあった。しかしこの数年、欠席は激減し、2023年は直前での欠席はゼロ。反対に、陛下単独での出席と発表されていた行事に、出席することが可能になっているのだ。