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物価高対策の柱として、政府は「ガソリン補助金」を’24年4月末まで続ける方針です。’22年に始まったガソリン補助金ですが、国などの会計を検査し適正な経理の実施を監督する会計検査院がある指摘をしました。

 

11月7日の発表によると、’22年2月~’23年3月に国から支給されたガソリン補助金は1兆2千773億円。対してガソリンの小売価格の抑制は1兆2千671億円でした。つまり、約101億円の補助金が小売価格の抑制に使われていない可能性があるというのです。

 

ガソリン補助金は石油元売り会社に支給され、元売り会社は補助金分を安くしてガソリンスタンドにおろす仕組みです。抑制額は当初1リットル5円が上限でしたが、上限は35円まで上がりました。その後、徐々に下がり、追加の増額や減額を経て、今の抑制額は明確ではありません。

 

また、ガソリンスタンドには価格差もあります。現在レギュラーガソリンの全国平均は1リットル173.7円(’23年11月22日・資源エネルギー庁)ですが、地域によっては1リットル200円を超えることも。店頭価格では、補助が適正に反映されているかはわかりません。

 

むしろ補助金の価格抑制効果を疑問視する声があったところに、冒頭の会計検査院の指摘です。私は腹立たしく思いました。というのも、もっと公平な補助金の仕組みがあるからです。

 

たとえば、トリガー条項の凍結を解除すること。トリガー条項とは、ガソリンの高騰が続いたときガソリン税のうち1リットル25.1円を減税し、価格が安定すれば元に戻すというもの。明確な基準があるので、わかりやすく公平です。

 

あるいは、ガソリンにかかる消費税を一時的にゼロにする。もともとガソリンは、価格の4割が税金です。ガソリンの本体価格にガソリン税などを加え、さらに消費税がかかっています。災害級の物価高の今だけでも、ガソリンの消費税がゼロになれば安心ですよね。

 

公平なやり方があるのに、適切とはいえない現行のガソリン補助金を続けるなんて、政府には全体を見通せるブレーンがいないのでしょうか。石油元売り会社との癒着を疑われても仕方ありません。

 

さらに会計検査院はガソリン価格の民間調査費、約62億円がムダだと指摘しました。資源エネルギー庁が実施中の調査とほぼ同じ内容だから不要だというのです。お粗末さにあきれてしまいます。

 

国会では、約13兆円もの補正予算が審議中です。うち生活に関わるのは物価高対策の約2.7兆円と賃上げ対策の約1.3兆円で、合わせて約4兆円。補正予算全体の3分の1にも及びません。

 

岸田首相は11月22日にやっとトリガー条項凍結解除の検討を指示しましたが、昨年も検討したものの実現しなかった経緯があります。

 

生活は自衛しましょう。急発進、急加速を避けるエコ運転で、家計と命を守る運転を。

経済ジャーナリスト

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