5月31日、岸田首相と面会した小池都知事。行政による生活支援が急務だ(写真:共同通信) 画像を見る

首都・東京の知事選に、自民党の総裁選……。今年は日本の今後を占うイベントがたくさん。にわかに政府はお金をまき始めたが、それを上回る値上げが待っていて――。

 

「6月21日、岸田文雄首相が記者会見で『2段構えの物価対策』を発表しました。第1弾は8~10月の電気代とガス代の補助金を復活させること。

 

一般家庭の1カ月の電気代は1千400円、ガス代は450円ほど負担が減る見込みです。第2弾は、年金世帯や低所得者を対象とした追加の給付金などです。突然の発表だったので、総裁選前の人気取りのように感じます」

 

こう指摘するのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。関東学院大学経済学部教授の島澤諭さんも、同様の見解だ。

 

「6月分の給与に反映された1人4万円の定額減税ですが、一度きりなので、根本的な物価対策になりません。また、電気とガスの補助金の復活は、酷暑を乗り切るための緊急支援だそうですが、7月分は反映されません。

 

非常に場当たり的。支持率が低迷する岸田首相の総裁選への巻き返しのためのバラマキでしょう」

 

10月には児童手当の対象が中学卒業から高校卒業まで拡充されるなど、岸田首相肝いりの“異次元の少子化対策”が始まるが……。

 

「少子化対策とはいっても名ばかりで、すでに生まれた子供への支援策がほとんどです。生まれてくる子供を増やす対策がないのですから、少子化が反転するはずがありません」(島澤さん)

 

もちろん、原資は税金だ。当初は社会保険料に「月1人500円」を上乗せすると説明されていたが、蓋を開けてみれば、大企業や中小企業で働く年収600万円の人は月1000円、年収800万円の人は月1350円と(2028年度見込み)、当初の説明の倍額以上となっている。

 

「公的医療保険に“上乗せ徴収”する前例を作ったことで、あらゆる施策の財源に流用できるスキームが完成しました。今後も、別の“上乗せ徴収”が始まるかも」

 

一方、6月24日、2023年度の税収が70兆円を超える見込みであることが判明。過去最高だった’22年度の71兆1373億円にせまる勢いだ。

 

「それでも、バラマキのために財源が足りなくなり、次から次へと国民の負担を増やしていくのは、政府のやりくりが下手すぎるからではないでしょうか」(島澤さん)

 

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