投開票から10日以上が過ぎてもなお、波紋を広げ続けている兵庫県知事選。選挙前に斎藤元彦知事(47)への“不支持”を表明していた同県の市長が、当選直後に“手のひら返し”をしていたことがわかった。
選挙戦の序盤では大幅にリードしていた稲村和美氏(52)だったが、終盤になると斎藤氏が激しく追い上げる展開に。逆転される危機感からか稲村氏にはかってない“応援団”が名乗りを上げ、世間を驚かせた。
「兵庫県の市長会有志22人が投開票日の3日前である11月14日、稲村氏の支持を表明したのです。稲村氏は斎藤知事と“一騎打ち”状態でしたが、選挙期間中に市長が特定の候補者の支持を表明するというのは異例の事態。ましてや22もの市がともに、というのは未だかつてなかったのではないでしょうか」(政治部記者)
しかしこの22人の市長のうち2人は、投開票当日に斎藤知事に手のひら返しをしていたというのだ。斎藤知事の当選が決まった17日の夜、斎藤知事の選挙事務所にいたという支援者は語る。
「“反斎藤”を表明した市長なのに、なぜか斎藤さんの事務所に挨拶しに来ているので思わず目を疑いました。『えっなんで?』『あれだけ斎藤さんのことを批判しておいて、当選したからといって今更どのツラ下げて来たんですか?』と言いたくなりました」
本誌が取材を進めると、この2人は伊丹市の藤原保幸市長(70)と宝塚市の山崎晴恵市長(54)だということがわかった。“即座に手のひら返し”の理由を各市に尋ねると、伊丹市の秘書課は次のように回答した。
「22市町の中に名前がはいっていたことについては、市長が個人としておこなったものです。市職員としては関知しておりませんので、なんとも申しあげることはできません。
また、17日の当選が決まったすぐあとに斎藤知事の事務所にお伺いしたのは、市の公務としてお伺いさせていただいたものです。伊丹市の市政を運営していく上で連携が欠かせない重要なパートナーである方々、たとえば、伊丹選出の国会議員、県会議員などの方々が選挙で当選されたときにお祝いを述べに行くことはこれまでもずっとやってきたことです。それで、今回もやらせていただいたという次第です」
斎藤知事の選挙事務所ではこんなやり取りがあったという。
「私も市長と同行させていただいたんですが、『何しに来られたんですか?』と質問される支援者の方はいらっしゃいましたので、今お話しさせていただいたのと同じことを説明させていただきました。また、当日は多くの支援者とマスコミが大勢訪れていて斎藤知事本人は取材対応でいっぱいでしたので、『おめでとうございます』『ありがとうございます』の短い挨拶をかわすのみでした」(伊丹市・秘書課)
続いて宝塚市秘書課に話を聞くと、
「22人のなかに宝塚市長の名前があるのは、市としてそういうことはできませんので、市長が個人としてやられたことです。また、当選当日に選挙事務所をお伺いしたのは宝塚市の代表として公務で行ったものです。阪神間の慣習として、兵庫県知事選挙で当選が決まりましたらご挨拶に出向くということを以前からやっておりますので、今回も同じように対応した次第です」
との回答があった。
前出の政治部記者は言う。
「つまり、どちらの市長も個人としては“反斎藤”だけど、市政を円滑に行うために公務としてお祝いの挨拶に出向いたということでしょう」
知事選の混乱が収まるのはいつになるのか――。