「今後ですね、公明党さんと我々国民民主党は、政策面含めて連携を強化していこうということで合意をいたしました」
こう語ったのは、国民民主党・玉木雄一郎代表(56)。10月16日に公明党との党首・幹事長会談を終え、記者団の取材に応じた。
4日に自民党で高市早苗氏(64)が新総裁に選出されたが、10日に公明党が自民党との連立解消を表明。政局が大きく揺らぐなか、15日に高市氏と日本維新の会・吉村洋文代表(50)が会談し、両党が急接近することに。翌16日には連立政権の構築に向けて政策協議が始まり、吉村氏は政策協議がまとまれば首相指名選挙で高市氏の名前を書く考えも明かしていた。
しかし、立憲民主党、維新との協議を進めていた玉木氏にとって、維新が自民に歩み寄ったことは寝耳に水だったようだ。15日夜に行ったライブ配信では、維新に対して「二枚舌」「自民党とやるんだったら最初から言ってよ」と“恨み節”を漏らしていた。
「15日は玉木氏も高市氏と会談をしています。高市氏は国民民主党を『一致点の多い政党』と評価しており、玉木氏に『政策をスピーディーに進めたいのであれば、一緒に責任を担ってほしい』と協力を求めたといいます。しかし玉木氏は、公明党が抜けた自民党と手を組んでも確保できる議席数は過半数に満たないという理由で二の足を踏んでいました。いっぽう、Xでは『内閣総理大臣を務める覚悟があります』と発信し、立憲民主党に政策の一致を強く求めてきました。野党間の連立交渉が長引くなか、維新に出し抜かれてしまったのは想定外だったのでしょう」(全国紙政治部記者)
与野党との駆け引きをめぐって“次期首相”の呼び声も高かった玉木氏だが、最近では“煮え切らない発言”も目立っていた。
「14日の定例会見では、『仮に政権の枠組み交渉が滞ったり、なかなか着地点が見いだせないなら、いわゆる“総総分離”』と総理と総裁を別の人物が務める方針を求めていました。また、臨時国会は21日に召集が予定されていますが、玉木氏は15日に出演したテレビ番組で“国会を開くのはいいが、首相指名選挙は火曜日にやるな”とも発言しています。月曜日に野党3党首会談を再度行い、基本政策の一致について事前調整したい意向があるようですが、かなり慎重姿勢にも映ります」(前出・全国紙政治部記者)
「首相になる覚悟がある」と公言しながらも、首相指名選挙を先延ばしにするような言動を繰り返していた玉木氏。そんな不可解な動きについて、著名な政治ジャーナリスト・後藤謙次氏(76)の“解説”が注目を集めている。
15日放送の『報道1930』(BS-TBS)では、同日に行われた与野党の党首会談を特集。コメンテーターとして出演した後藤氏は、突如として「総総分離」を持ち出した玉木氏について「おそらく維新の動きと表裏一体の関係にあるんだと思います」とし、こう私見を述べた。
「玉木さんが仮に総理になるとすれば、いまのような(不安定な)状況がしばらく続いていなきゃいけないわけですね。(与野党どちらかに)固定化されてしまったら、玉木さんの(勝ち)目はないと。玉木さん自身も、私が見るところ、自民党と手を組む限り総理大臣になれないんですね」
また玉木氏について、「本当は(総理に)なりたいけどなれない」とも述べた後藤氏。高市氏が14日に出席したイベントで「諦めません」と力強く挨拶したことに言及しながら、高市氏が玉木氏に“総理の座を譲る意思はない”とする見解を示した。その上で「これは確証はないんですけど」と前置きし、こう述べたのだ。
「実は玉木さんに財務大臣兼副総理っていうポストを、(自民党が)用意していた時期があったんですね。そこが最高位なわけですよね」
後藤氏によれば、こうした水面下でのやりとりは高市氏が総裁に就任してからだといい、「いま色んな閣僚人事が出てますけど、財務大臣についてだけは人の名前も出てきてないんですね。それは(ポストを)空けてたと思うんですけど」とコメント。
続けて、「つまり混乱状態があったら次に出てくるという点では、『総総分離』的なある意味宙ぶらりんの状況っていうのが、玉木さんがもう1回浮上するチャンスがあると。そこで玉木さんが言い出したんじゃないかと思いますね」と推察していた。
司会の松原耕二キャスター(65)が「自民党のなかに維新がしっかり結びつく前に、自分がもう1回入り込める隙は作れるんじゃないかという気持ちがあったということですよ」と語ると、後藤氏は「そうだと思います」と同調。その上で、玉木氏の“思惑”についてこう解説したのだった。
「連立するかしないかは別にして、玉木さんが掲げていた政策を実現するために、そこに維新に入り込まれてしまったらその隙間もなくなっちゃう可能性があるわけですね。維新最優先になるのが見えてくると、そこを宙ぶらりんにしておくというのが玉木さんの思惑にあったような気がしますね」
後藤氏の見立てが的中しているかどうかは定かではないが、維新に“恨み節”まで呈した玉木氏には世間から冷ややかな視線が注がれることに。そうしたことも重なり、Xやネットではこんな声が寄せられている。
《これ本当だったとしたら、やらかしたな むしろわざとなのか?》
《色んな意味で衝撃 自民党は玉木氏に副総理と財務大臣のポストを用意していたと。 これ実現してたら自民党内で不満噴出しそうだけど。 勿体つけてる内に維新に先越された玉木氏が、今後色々難癖つけてきそうだね》
《首班指名遅らせるのも、総総分離もやめてくれ 玉木さん国民の声聞けてる!? さっさと政策を進めてくれ!!が国民の声ですよ》
冒頭のぶら下がり取材では、「維新の皆さんが自民党に連立の条件として出した12項目を見ましたが、あの中にも年収の壁の引き上げは入っていないので。私どもと公明党がしっかりとタッグを組んでこれを実現していく」と維新を意識した発言もあった玉木氏。次なる戦略は、果たして——。
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