11月7日から、高市早苗首相(64)にとって初となる衆院予算委員会が連日行われているが、早くも“波乱”が――。
それは11月10日午前に行なわれた同会で、立憲民主党・大築紅葉議員(42)が「北海道民として軽視できない発言がございました」と言い、質問に立った際のことだった。
黄川田仁志沖縄北方担当相(55)が8日、視察で訪れた北海道根室市の納沙布岬から北方領土を視察した際に記者から感想を聞かれ、「一番やっぱり外国に近いところですから、それはやっぱり目で感じるというのは大切だ」などと発言したことを問題視した大築氏。「もしかして北方領土を外国と認識されていたんでしょうか?」と発言の真意を質した。
黄川田氏は「今回、納沙布岬から改めて北方領土を眺めて、改めて、特に若い方に納沙布岬などの場に足を運んで自分の目で見て、領土問題を自分のこととして思いをはせてもらいたいという思いを話しました」と背景を説明。
一方で、「納沙布岬の当時の気象状況は寒風吹きすさぶ中でありまして、話の全体の文脈を捉えて聞いていただく、ご理解いただくことが難しい状況でありました。ですから、そこで改めて、現地での会見の場でも北方領土はわが国固有の領土であるということをはっきりと申し上げた上で、先ほどの私の思いを話させていただいた」と釈明し、「納沙布岬にたちまして、北方領土の近さを改めて実感する中で、これを絶対に取り戻したいという気持ちを新たにしたこともお話しさせていただきました」と強調した。
続けて、大築氏が茂木敏充外務大臣(70)にこの発言の外交への影響などを質問。北方領土について従来通りの政府の見解を述べた上で、外交に「影響はない」と回答した。
しかし、大築氏は追及の手をゆるめることはなく、地元や元島民の声として「稚内からサハリン、対馬から韓国、そして沖縄・与那国島から台湾が見えることも例に挙げていたと聞いている。日本の国土から外国を見る話と同視しているんじゃないかという不安な声が上がっておりまして、大臣の資質にかけるんじゃないか」と、さらに指摘した。
その上で高市総理に「領土主権を担う閣僚がこうした発言をすることの重み、そしてこうした元島民、地元の方々のお気持ちをどう受け止めておられますか?」と質問し、会を仕切る衆院予算委員長の立憲民主党・枝野幸男氏は「内閣総理大臣高市早苗さん」と指名したのだが……。
なんと、指名されていない茂木氏が手をあげながら立ち上がり、高市氏を見て”自分が行く”というような仕草をした後、マイクの前に立ち話し始めようとしたのだ。これに枝野氏は再び「高市早苗さん」と指名し、大築氏も「まず総理に聞いてます!」と遮った。
それでも茂木氏が発言を続けようとしたため、枝野氏が「指名しておりません、外務大臣!」「外務大臣! いったん下がってください」「時計止めてください、速記を止めてください。速記を止めてください!」と声を荒げて制止し、一時的に音声も途絶える事態となった。
その後、枝野氏は指示を出し、高市氏が演台に立ち、一報を受けて政府の立場に「誤解を招きかねないものであったことと感じましたので、黄川田大臣には電話で注意をいたしました」と対応を明かし、「木原官房長官からも直接注意を行ったと聞いております」と説明。「その上で、領土問題でございますので外務大臣に答弁の機会を与えていただきたく存じます」などとフォローした、なんとかその場は持ち直していた。
画像ページ >【写真あり】「下がってください!」茂木外相に声を荒げる枝野氏(他1枚)
