福島県の東日本大震災・原子力災害伝承館を訪問された愛子さま。奉迎に応じられて(写真:JMPA・2026年4月6日) 画像を見る

東日本大震災の発生から15年。4月6日、天皇陛下と雅子さまは愛子さまとともに、福島第一原子力発電所が位置する福島県双葉町にある東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れ、供花された。数多くの人々の生活を奪った原発事故後、福島第一原発が所在する自治体を訪問されるのは皇室では初めてのこととなる。

 

この伝承館へのご訪問により、両陛下と5年ぶりに再会した女性がいた。同館に隣接する、双葉町産業交流センター内でファストフード店「ペンギン」を営む、山本敦子さん(54)だ。コロナ禍に世界が覆われていた2021年4月、両陛下はオンラインの形で双葉町と大熊町を視察された際、山本さんと懇談されていたのだ。

 

原発事故前まで、山本さんと母親が切り盛りしていた「ペンギン」は双葉駅前にあり、地元の中高生を中心に住民に愛された飲食店だった。しかし事故後、双葉町の全町民約7千人は避難を余儀なくされ、故郷を離れた土地での生活せざるをえなくなった。避難指示が町内の一部地域で解除された以降も、戻った町民は200人程度だとされる。

 

山本さんは5年ぶりの“再会”について、こう振り返ってくれた。

 

「震災前に母とやっていたペンギンを復活させて間もなく、コロナ禍に見舞われました。伝承館を訪れる人も、店の売上も激減したころに、オンラインで天皇皇后両陛下とお話しする機会がありました。横浜市に家族と避難したこと、当時中学3年生だった娘が、環境が変わり苦労したこと……私がお話しすると、雅子さまには同じ母親として共感していただき、背中を押していただいたような気がしました。

 

その娘が、いま私の右腕として店に出てがんばっていますとお伝えしたところ、天皇陛下からは『お元気になられてよかったです』とおことばをいただき、雅子さまもお隣で大きくうなずいていらっしゃいました」(以下、山本さん)

 

震災前の「ペンギン」の名物メニューは、食べ盛りの中高生の小腹も満たせる「スペシャルサンド」だった。愛子さまが、山本さんに現在の人気メニューについて質問される場面もあったという。

 

「愛子さまから、現在のおすすめメニューについてご質問いただき、『スペシャルカツサンド』だとお伝えしています。震災の前まで、カツサンドはうちにはありませんでした。原発事故があって、復興のために近隣で働く作業員の皆さんにお腹いっぱいになってほしいと考えた品です。

 

ボリュームがあるメニューなので、“口を大きく開けなければ食べられませんけど”とお伝えすると、雅子さまがハンバーガーを両手で召し上がるような仕草をされながら、『ハンバーガーもね』とおっしゃって、その場がとても和んだ雰囲気になりました」

 

天皇ご一家とのご懇談で、山本さんが気づいたことがあったという。

 

「いまの店には、以前の『ペンギン』を知るかつての中高生が訪ねてくれることがあります。原発事故前のにぎやかだった双葉駅前を、皆で懐かしんでいます。愛子さまは、『懐かしい方々もお越しになりますか』とお尋ねになったのですが、きっとそのこともご存じだったのではないかと……。

 

愛子さまからいただくご質問が多かったのは、事前にかなりお調べになっていたのではないでしょうか。震災や原発事故の記憶を次世代にも継承していきたいという両陛下の思いを、愛子さまがしっかりと受け継いでいらっしゃるように思いました」

 

東日本大震災・原子力災害伝承館は、福島第一原発から北へ約4キロ圏内に位置し、周辺には現在も放射性物質の空間線量を示すモニタリングポストが立っている。また立入禁止区域にある中間貯蔵施設にも近い。山本さんは続ける。

 

「いまの双葉町や、震災の記憶を思うと、明るい表情になるのは難しいかもしれません。ただ私は、店に食べに来ていただいたお客様には笑顔でお腹いっぱいになってほしいという一心で店をやっています。最近が外国の方も伝承館にたくさんいらっしゃって、そうした方々だけではなく、町外に避難している町民の方にも、“また双葉に行きたい”と思ってもらいたいのです。

 

暗い一面だけではなく、明るいイメージも双葉町に抱いていただけたら……。最後に雅子さまから、『笑顔で皆さんを明るくしてくださいね』とおっしゃっていただけたのですが、私の気持ちを受け止めてくださったんだなと感じましたね」

 

今日も笑顔で「ペンギン」を営業する山本さんだけではなく、天皇陛下と雅子さま、そして愛子さまのほほ笑みが、これからも店を訪れる人々の気持ちに光をもたらすことを願ってやまない――。

 

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出典元:

WEB女性自身

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