ヒグマ(写真提供:黒澤徹也氏) 画像を見る

全国各地で多発するクマによる被害。今年度のクマの出没のペースは、過去最多だった2025年度の5万776件を上回る勢いだ──。

 

5月17日、北海道士別市多寄町で、市内の70代男性がヒグマに襲われた。士別署によると、男性は山菜採りをしているところで被害に遭ったが、幸い怪我はないという。

 

冬眠から目覚めたヒグマが北海道で活発に動きまわっているが、そんなクマたちのある“異変”を訴える人がいる。北海道北東部の興部町(おこっぺちょう)在住で、20年にわたりヒグマなどの野生動物を観察してきた黒澤徹也さんだ。

 

黒澤さんが住む興部町では、市街地や海岸付近でも多くのヒグマの目撃情報が寄せられている。その理由について黒澤さんは「エサが足りなくて出てくるというのは違うと思います。それだけクマの数が増えているから、押し出されたように出てくるんじゃないでしょうか」と語る。

 

「春先、冬眠明けのクマたちがみんな丸々と太っている。“メタボ”なヒグマばかりなんです。冬眠明けは普通痩せているんですが、とくに今年は痩せたヒグマはほとんど見ません。

 

そのうえ、昔に比べて、今は本当に頻繁に見かけるようになりました。それだけ数が増えたということ。エゾシカがものすごく増えているし、食べるものには困っていないんでしょう。去年は山のドングリが不作でしたが、関係ないですもんね。冬眠前にものすごく食べているんだと思います」(黒澤さん)

 

5月2日、黒澤さんが設置したカメラに映っていたのは、体長2m超、体重300キロ超はあろうかというヒグマだった。ヒグマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授によれば、「ヒグマは冬眠の間に3割ほど体重が減るので、冬眠前は400キロほどだったのではないか」という。

 

では、なぜこれほど“メタボヒグマ”が増えているのか。佐藤教授は、「酪農地帯の環境変化」が原因ではないかと推測する。

 

「興部町のような酪農地帯では近年、牧草地から飼料用のトウモロコシへの転作が進んでいます。家畜用の飼料の価格が高騰したためです。それはいわば、クマにとっては“天国”みたいな場所になるわけです。山の中でドングリなど木の実を探さなくても、畑にいたら一日中食べていられるわけですから。

 

あとは温暖化によって雪解けが早くなり、植物が芽吹くのも早くなったため、早い時期から食べるものがあるということも影響しているのかもしれません」(佐藤教授)

 

事実、北海道北西部の苫前町では2026年4月、体重330キロのヒグマが捕獲され「冬眠明けにしては巨大すぎる」と話題になった。捕獲された周辺には、麦や飼料用トウモロコシ畑が広がっていた。“メタボグマ”急増は、やはり人為的な環境変化によるものなのか……。

 

そんなヒグマが本州へとやってくることはあるのだろうか? クマは意外にも泳ぎが得意な動物だ。2018年には北海道北部の利尻島にヒグマが現れ、島が大騒ぎになったことがある。北海道と利尻島の距離は19キロだが、泳いで渡ってきたとみられている。北海道と本州の間にある津軽海峡の距離は最短部で約19キロ。泳げない距離ではない。その可能性について、佐藤教授はこう語る。

 

「距離的には確かに泳げるといえます。ただし、実際には海流もあるので、本州まで泳ぎ着く可能性は低いでしょうね」

 

とはいえ、巨大化するクマには警戒をしなければならない。

画像ページ >【写真あり】野生動物写真家が定点カメラで発見した“メタボヒグマ”(他1枚)

出典元:

WEB女性自身

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