6月1日、警視庁町田署は現役の警察官で、日本スーパーバンタム級11位のプロボクサーとしても活躍していた杉田ダイスケさん(本名・杉田大祐、享年37)が亡くなったと発表した。
各メディアの報道によると、5月30日に勤務先である東京・町田市の駐在所で、制服姿のまま頭から血を流して倒れている杉田さんを同居している家族が発見し、「夫が拳銃で頭を撃った」と110番通報した。杉田さんは意識不明の重体で病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。現場には実弾1発が発射された形跡のある拳銃が残されており、拳銃で自殺を図ったとみられているが、遺書などは見つかっていないという。
杉田さんは、警視庁町田署の地域課に所属する現役の巡査長。高校と大学でのアマチュアボクシングの経験を経て、2010年に警視庁に入庁した。入庁後にアマチュアで全日本社会人王者となった後、’18年には現役警察官としてプロデビュー。戦績は11勝(4KO)6敗で、日本スーパーバンタム級11位にランクされている。報道によると、8月に試合が予定されており、次戦に向けて練習に励んでいたという。
現役警察官ボクサーとして活動してきた杉田さんは、自身のXでも頻繁にボクサー仲間を応援する投稿をしており、ボクシング界をもり立てるべく積極的に発信していた。そんななか、今回の事件を受けて、杉田さんが今年3月にXに投稿していた子どもとの家族ショットが注目を集めている。
杉田さんは3月18日、《37歳、三児の父。子供たちに誇れる背中を見せられているかは分からないですが親父も本気でやってるという姿が少しでも伝わればと思いリングに上がりました》と、前日の17日に後楽園ホールで開催されたボクシングの試合後と思われる写真を投稿。
この試合を2-0の判定勝ちで勝利し、日本ランクもキープした杉田さんは《最終ラウンド、杉田コールに背中を押されて約2分間ラッシュ。最後はデンプシーロールまで出し切れました 応援本当にありがとうございました》と報告し、トロフィーを手にした杉田さんが3人の子どもたちに囲まれた写真を投稿していた。
しかし自身のXのトップに固定していたこのポストから、わずか2カ月半で、杉田さんは急逝。子どもたちへの思いを綴っていた父親の突然の選択に、SNSでは衝撃と困惑の声が広がっている。
《この3ヶ月後に、拳銃自殺か…… いったい、彼に何があったのか…… 彼の心にどんな変化があったのか……》
《このポストの数カ月後に自殺だなんて、人の心は何と不合理で理不尽なことか。子供が可哀想すぎる》
《おいおい、3人の子供おいてまで死ななきゃいけないなにがあったんだよ。次の試合決まってたんだろ?》
《まだまだお子さん等に大きな背中を見せ続けてほしかった》
杉田さんを惜しむ声は尽きないが、実は今回の事件は1人のボクサーの悲劇という側面に留まらず、日本の警察が抱える根深い“社会問題”をも浮き彫りにしている。
「警察官が勤務中に貸与された拳銃で命を絶つ事件は、これまでにも繰り返し起きてきました。’21年には都内の交番で34歳の男性巡査長が、’23年には福島県で40代男性警部補と30代女性巡査長が相次いで自殺。’25年にも都内の交番で32歳の男性巡査長が勤務中に拳銃で頭を撃って自殺を図っています。今年3月にも都内の20代男性巡査が拳銃自殺で亡くなりました。
警察官は日常的に強い緊張感に晒されるだけでなく、階級社会特有の厳しい上下関係や過酷な勤務環境など、精神的に追い詰められやすい土壌があります。そこに加え、一般人には許されない拳銃に常時アクセスできる環境にあるため、突発的な衝動に駆られた際、実行に移しやすいという構造的な要因が指摘されています。
毎年のように拳銃自殺のニュースが報じられ、そのたびに警察は『誠に遺憾』『再発防止に努める』と繰り返してきました。しかし、その誓いとは裏腹に、同様の悲劇が一向に止まらないのが実情です。一刻も早い抜本的な対策が講じられることを望みます」(全国紙社会部記者)
