養子案に強いこだわりを持つ麻生太郎自民党副総裁の目論見は(写真:本誌写真部) 画像を見る

オランダ・ベルギーを国賓として訪問されている天皇皇后両陛下。ご訪問を通じて、両陛下が日本と両国の親善をいっそう深められているなか、国会では“皇室の危機”に対する議論が佳境を迎えている。

 

「約2年半にわたり、国会では減少する皇族数をどのような方策によって確保するべきか議論されてきました。6月10日、衆参両院の各党・会派が集まった全体会議で、両院の正副議長が示した『立法府の総意』が取りまとめられ、その後高市早苗首相に伝達されています。

 

伝えられた内容の軸としては、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持できるようにする案と、1947年に皇籍離脱した旧11宮家の男系男子を養子縁組で皇族に迎える案が明記されました。今国会の会期末にあたる7月中旬までに政府が改正案を作り、再び国会で審議されることになります」(政治部記者)

 

だが各種世論調査でも、“養子案”に対する懐疑的な見方は少なくない。にもかかわらず政権与党である自民党や日本維新の会が“第一優先”として掲げてきたのは、どういった背景があるからなのだろうか。

 

「現在の皇室典範では、次世代の皇位継承者は悠仁さまお一人です。万が一、悠仁さまに男の子がお生まれにならなければ、“初代の神武天皇より126代続いてきた男系男子による皇統を守ることができない”として、保守派はこの“養子案”を優先的に改正案に盛り込むべきだと主張してきました。

 

とくに自民党では、寬仁親王妃信子さまの実兄である麻生太郎副総裁が中心となって議論を主導し、この“養子案”への強いこだわりを見せてきました。18日には麻生派の会合で、法案化に向けた作業が進んでいることについて述べつつ、『何としても今国会で成案を得なければならない』と呼びかけています」(皇室担当記者)

 

麻生氏が強硬な姿勢を崩さないことについて、象徴天皇制の確立の過程を専門とする名古屋大学大学院教授の河西秀哉さんはこう語る。

 

「世論調査でも女性天皇や女系天皇を容認する声が高まっているほか、愛子さまが天皇となられることを望む国民も増えています。麻生氏をはじめ、強硬な保守派の政治家たちが女性天皇や女系天皇を認めない背景には、日本会議のような神道系の政治団体といった右寄りの人々の支持をつなぎ留めたい、という狙いがあるのかもしれません。

 

さらにいえば、“男は女に従うべき”という昭和的なミソジニー(女性蔑視)的な価値観を保守派が持っていることも、決して無視はできないようにも感じています」

 

「立法府の総意」がまとめられる過程で、養子案に関して森英介衆院議長による発言も反発を広げた。かねて森議長は麻生氏の長年の腹心として知られるが、“養子となった旧宮家の男性には皇位継承権は認めないが、男の子が生まれればその子は皇位継承権を持つ”という発言に、野党は猛然と反発したのだ。

 

「さらには『文藝春秋』7月号でも。政治学者の御厨貴・東京大学名誉教授が、《三笠宮家寬仁親王妃家に養子が取られたら、麻生さんが天皇の外戚になり、平安時代の藤原氏のようになる》と、麻生氏が養子案を推進していることに対して批判的な見解を示したのです」(前出・皇室担当記者)

 

SNS上には、強い言葉で反感を示す投稿が相次いでいた。

 

《これが今回の皇室典範改正の悪質な点だ。高市・麻生による皇室乗っ取りクーデター》
《麻生太郎氏の皇室典範書き換えで乗っ取りなんてはいけない》
《85歳最後に張り切りすぎですね。皇室乗っ取りすごい野望だわ》

 

天皇陛下は6月13日、オランダ・ベルギーご訪問前に臨まれた記者会見で、「皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と述べられている。前出の河西さんはこう続ける。

 

「そもそも、“男系男子の血が繋がっている”というだけで養子となった方のお子さんが皇位を継承することに、国民は納得するのでしょうか。天皇陛下の記者会見でのおことばには、そうした懸念が強く込められていたようにも感じました。

 

日本国憲法には、象徴としての天皇の地位は国民の総意に基づくとあります。象徴天皇の歴史は、国民の理解と支持に基づいてきました。そうした意味でも、養子案より、人々が求めている女性天皇を容認するという声に、政治家は向き合っていかなければならないのではないでしょうか」

 

国民の願いは、麻生氏ら保守派の目論見を超え、政治家たちに届くのか。

 

画像ページ >【写真あり】“愛子天皇”を支持するという麻生太郎氏の実妹「女性皇族」(他16枚)

出典元:

WEB女性自身

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