「皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」
こう天皇陛下が述べられたのは、6月11日、オランダ・ベルギー公式訪問に際しての記者会見だ。減少する皇族数を確保するための「立法府の総意」が政府に伝達されたのはこの前日だった。
今国会が閉幕する7月中旬までに、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案の2つを軸に、皇室典範が改正されようとしている。宮内庁関係者はこう明かす。
「陛下は、『制度に関わる事項については、私から言及することは控えたい』と述べられながら、皇室のあり方が『国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすること』ともおっしゃっています。
現在養子案をめぐっては、メディア各社の世論調査でも疑問を抱く国民が少なくないという見方もあります。拙速な議論の進め方だけでなく、“戦後の象徴天皇のあり方と養子案が両立し、国民の理解が得られるのか”という政府や国会へ対するお考えを、おことばに込められたようにも拝察しています」
皇室を代表して発信せざるをえなかった陛下のお考えやお立場について、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院教授の河西秀哉さんは次のように語る。
「今回のおことばには、22年前のいわゆる『人格否定発言』に匹敵するほど、天皇陛下は強い思いがあったように感じました。“言及することは控えたい”としながらも続けられたのは、それだけお伝えにならなければならないとお考えだったのでしょう。
憲法では、天皇の地位は“国民の総意に基く”とも明記されており、さらにおことばには、戦後の象徴天皇のあり方を、あらためて述べられています。政府・与党が養子案を皇室典範に盛り込もうとしていることに、陛下が懸念を示されているとも思いました。
さらに次世代を担われる愛子内親王殿下をはじめ、ご家族・親族らへの影響をお考えになってのご発言だったとも言えます。そして政治家が進めている改正にあたって、女性皇族の意見が伺われないまま進められていることに対して、思いを代弁しなければならないとも考えられたのかもしれません」
皇室の未来、そしてご家族を思う陛下による異例のご発言は国民にも大きな反響を広げた。しかしもっとも心を震わせ、奮起を決意されていたのは、愛子さまだった。
