高市首相(写真:本誌写真部) 画像を見る

福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑で、長年“県議会のドン”と呼ばれてきた福岡県議会議員の蔵内勇夫氏(72)が8月25日付で県議を辞職した。その背景には、高市早苗首相(65)の強い怒りがあったという。大手紙の政治部記者が明かす。

 

「8月28日、党本部に呼ばれた福岡県連の幹部は、自民党の鈴木俊一幹事長と会談しました。その席で鈴木幹事長から『このまま議会の自浄作用が働かないなら、来春の県議会選挙では現職県議でも党本部の公認は出せない』と通告されたんです。会談には、高市首相の内閣総理大臣補佐官で福岡1区選出の井上貴博さんも同席したようです。井上さんは麻生派で県議出身。会談では県議らをかばうわけでもなく、逆に『高市首相はお怒りだ』などと、かなり強い言葉で県議らを叱責したようです」

 

蔵内氏の辞職を受け、県議団内では処分もおこなわれたようだ。県議らは表面的には恭順の姿勢を示しているものの、腹の中では怒りが収まっていないという。

 

「公認差し止めの可能性を聞いた県議らは、『高市さんだって、裏金議員を要職に就けたじゃないか』と怒り心頭だったようです。ただ、そういう事情ならば、と31日になって、蔵内さんへの議長辞職勧告決議案の採決中止を求める動議に反対した福岡県議会議員の江藤秀之さんに対し、自民党県議団の渡辺勝将会長が、12月議会の閉会日まで会派の会員資格を停止する処分を出しました。江藤さんは納得していないようですが、会派執行部の決定なので仕方がありません」(同前)

 

そして、こうした動きの背後で存在感を強めているのが、福岡11区選出の衆議院議員・武田良太氏(58)だという。

 

「鈴木幹事長が県連幹部と会う前日の8月27日、福岡市内の自民党7支部の支部長らが体制刷新を求める要望書を県連に提出しました。内容は、金銭授受疑惑で名前が挙がった県議らの役職辞任に加え、県議中心となっている県連組織を改め、県選出の国会議員を会長に据えることなどを求めるものでした。じつは、この要望書について、仕掛け人が武田氏だとみられているんです」

 

武田氏の動きの背景には、蔵内氏がいなくなった福岡県連で麻生氏の影響力がさらに強まることへの警戒感があるようだが、それだけではないようだ。自民党の中堅議員が明かす。

 

「じつはそれ以上に、高市さんが考える党本部と県連のあり方の見直しに対する危機感があるんです。高市さんは、公認権も含めて党本部が地方組織に影響力を強めるような体制を考えているようなんです。現在、党公認の流れは、まず公認申請があった候補者について地方県連が審査し、党本部に上申して、党本部が公認を決定するのが基本です。地方議員についても県連が公認に大きな役割を持っています。これを、まず党本部で候補希望者を募り、審査したうえで公認を決定し、地方県連に下ろすようなやり方に変える。わかりやすくいえば、現在の地方組織の力が強い党運営から、党本部の権限を強める方向に変えるということです」

 

高市首相がそうした方針を正式に打ち出せば、地方県連が反発する可能性は高い。それでも組織改革を進めようとする理由は、党規約そのものを大きく見直す構想があるからだという。

 

「といっても、標的になるのは参議院です。高市さんは先の国会で予算審議が参議院で進まず、暫定予算を組まざるをえなくなったことについて、大恥をかいたと捉えているようです。国会の会期を大幅に延長し、参議院で審議が長引いたとしても、憲法60条の規定による予算の自然成立まで視野に入れていたといいます。高市さんは、参議院が思うように動かない理由について、会長や幹事長など参院側の人事が参院議員によって決められ、党総裁の影響力が及びにくいことにあると考えているようです。だから、参議院の人事についても党総裁の権限を強めたいというわけです。ただ、そこだけをいじれば露骨すぎる。そのため、党組織改革のパッケージの一つとして打ち出そうとしているのです」

 

武田氏はこうした動きから、高市首相による県連改革が一気に進められることを警戒。市議らの要望書の提出や蔵内氏の辞職によって先手を打った——というのが、党内での見方だ。

 

「もちろん、鈴木幹事長との会談で高市首相から厳しい注文がつくことを、武田さんは知っていたということになります。事情通であることが武田さんの武器の一つで、うまく先手を打ったということでしょう。県議らにとっては、頼りになる存在に映ったはずです。このあたりでも、麻生さんや高市さんとの違いを見せたということです。

 

そもそも、蔵内さんは、2011年に県知事選への立候補を模索した過去があります。その後、息子の蔵内謙さんが2016年の衆院福岡6区補欠選挙に立候補した際には、麻生さんも支援に回りましたが、大差で落選しました。そうした経緯もあり、その後も両者が一枚岩だったとは言いにくい。蔵内さんが県議会を去ったことで、武田さんの福岡県連への影響力が強まれば、麻生さんとしても高市さんの党改革に対する姿勢が変わってくるかもしれません」(前出・政治部記者)

 

福岡県議会を揺るがした金銭授受疑惑は、単なる地方議会の問題では終わらない可能性が出てきた。来春の統一地方選を前に、地方組織の公認権、さらには自民党の党運営そのものをめぐる主導権争いへと発展するのか。福岡県連を舞台にした攻防は、今後の高市政権と自民党の力関係を占うものになりそうだ。

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出典元:

WEB女性自身

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