「消火開始します」
そう発声された天皇陛下が、消火器のホースを握られて放水。雅子さまと愛子さまもご一緒に、ホースを握り放水に挑戦されている。
「防災の日」と定められている9月1日、天皇皇后両陛下と愛子さまは、皇居・宮内庁庁舎前で行われた防災訓練に参加された。
天皇ご一家が職員の訓練を見学された後に、水を入れた消火器から火元に見立てた的に向かって、お三方で噴射されていたのが冒頭の場面だ。ほかには庁舎内の消火栓から延ばしたホースを使う訓練など、熱心に臨まれていた。皇室担当記者はこう振り返る。
「緊急時にはどういった行動をとるべきなのか、消火器やAED(自動体外式除細動器)をどのように使うのか……天皇ご一家は赤坂御用地にお住まいになっていたころから、たびたび避難訓練や防災訓練に臨まれてきたそうです。
今回は皇居で行われた防災訓練に初めてご参加、かつその模様を公開したのも初めてのことです。
雅子さまが放水の勢いに驚き、『うわぁ』と思わず声を漏らされたり、愛子さまが挑戦なさる場面では、雅子さまが心配そうに後ろから見守られていたり……国民にもほほ笑ましく受け止められた一方で、日ごろから防災を意識することの大切さを発信することができたといえるでしょう」
同じ日、高市早苗首相や閣僚らが防災服に身を固め、神奈川県厚木市で開かれた政府の総合防災訓練に参加していた。
「自衛隊や警察・消防がヘリコプターや大型の機材を用いるような、政府が主体となる大規模な訓練も大切なことです。しかし、天皇ご一家が平服で臨まれていたシンプルな防災訓練は数多く報じられ、政府の訓練よりも国民に好意的な反響を広げました。あらためて皇室が発する存在感とその力を意識させられましたし、両陛下と愛子さまに対して国民が抱いている親近感がそういった効果を生むのでしょう。“令和流”の発信の一つの形が表れているようにも感じました」(前出・皇室担当記者)
象徴天皇のあり方を研究する名古屋大学大学院教授の河西秀哉さんは、防災訓練の初公開について次のように解説する。
「天皇ご一家の様子が報じられることで、日常的に防災を意識することの必要性を、国民に広く喚起する効果があります。
また近年の日本では、自然災害が頻繁に起き、多くの被害が生じています。人々の被害規模を少しでも小さくしていくことだけではなく、“減災”という意識も広げていこうというお考えも、ご一家の防災訓練のご様子から見受けられました」
