ガーナのナショナルチーム監督だったころの友成さん(写真:本人提供) 画像を見る

2028年ロサンゼルス五輪で、野球競技が2大会ぶりに復帰する。その舞台を目指すナイジェリア代表の監督が日本人の友成晋也さん(62)。一般財団法人「アフリカ野球・ソフト振興機構(J-ABS)」代表理事として、長年アフリカで野球を通じた人材育成に取り組んできた人物だ。

 

友成さんが掲げる目標は明快だ。

 

「アフリカで一番強く、そして一番尊敬されるチームをつくりたい」

 

勝利を目指す一方で、選手たちに規律や尊重、思いやりを身につける。それが、友成さんのいう「ベースボーラーシップ教育R」である。

 

そこには、30年前から続くナイジェリアとの縁がある。国境を越えて練習試合に来てくれた若者たちへの感謝、貧しい少年が教えてくれた野球の本質、そして「昨日の自分に勝つ」という信念。友成さんの挑戦は、単なる五輪出場を超えた物語でもある。

 

■30時間かけて来てくれたナイジェリアの選手たち

 

慶応義塾大学野球部出身の友成さんは、1996年に国際協力事業団(現国際協力機構:JICA)職員としてガーナに赴任し、現地のナショナルチームを率いた。チーム強化のために練習試合の相手を探すなかで、手を差し伸べてくれたのがナイジェリアだった。

 

「国境を二つまたいで、ボロボロのワゴンタクシーで30時間ぐらいかけて、何度も来てくれたんです。当時のナイジェリアは治安が悪いことで知られ、選手たちも粗暴だという噂もありましたが、実際に会った選手たちはスポーツマンシップに溢れる素晴らしい若者たちでした。その時の選手たちが、今は連盟の幹部になっています。30年ぶりの再会と強い信頼関係があって『恩返し』として監督を引き受けました」(友成さん、以下同)

 

とはいえ、現実は厳しい。友成さんは、現在のナイジェリア代表の競技レベルを「日本で言えば中学レベル」と見る。南アフリカやウガンダにはメジャーリーガーを輩出する土台があり、短期間で追いつくのは簡単ではない。

 

そこで友成さんは、侍ジャパンのアナリスト経験者を帯同させ、データ解析機器「トラックマン」を導入し、投球の回転数や打球速度などを測定する。国内選手を鍛えるだけでなく、日本やカナダ、アメリカなど世界にいるナイジェリアルーツの選手にも声をかけ、チーム強化を進める考えだ。

 

「不可能なことにがむしゃらにチャレンジする姿を見せたい。ナイジェリアのためだけでなく、日本の人たちにも勇気を与えられると思うんです」

 

■少年が教えてくれた「野球は民主的」

 

友成さんの原点には、ガーナで出会った12歳の少年の言葉がある。貧しい環境で暮らす少年に「野球のどこが好きか」と尋ねると、少年はこう答えた。

 

「バッターボックスが好き。自分もヒーローになれるし、味方に平等に順番が回ってくる。野球は民主的なスポーツだから」

 

友成さんは「雷に打たれたようだった」と振り返る。野球の技術を教えているつもりが、逆に少年から野球の本質を教えられた。バッターボックスでは、誰にも平等にチャンスが回ってくる。その気づきが、退職後もアフリカ野球支援に人生を注ぐ原動力になった。

 

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出典元:

WEB女性自身

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