「予算の配分にあたって政治的な支持・不支持を持ち込まないのは当然のことであります。改めて適切な予算配分を徹底させてまいります」
10月7日、衆議院本会議で、簗和生農林水産大臣(47)の「予算カット」発言について問われ、こう述べたのは高市早苗首相(65)だ。
質疑の背景には、簗大臣が就任前の今年5月に出席した地元の集会で、今年2月に行われた衆議院選挙で、自身を応援しなかった首長がいる自治体の予算を「大幅にカットした」と発言したことがある。
国土交通省が10月6日に公表した今年度の「社会資本整備総合交付金」の配分額によると、首長が簗大臣を応援しなかった栃木県那須烏山市は前年比で約63パーセント減少、那珂川町は約54パーセント減少したことがわかっている。
逆に首長が簗大臣を応援した那須塩原市の交付金は1億2,024万円で前年比約11パーセント増、那須町の交付金は約1,648万円で前年比34パーセント増となっていた。
簗大臣は5日、「大幅にカットした」とした発言を撤回し、7日には辞任をあらためて否定している。
元岩手県陸前高田市長の戸羽太氏(61)は「あの『予算カット』発言は、簗大臣が高市首相のお気に入りであるという驕りからきたのではないか」とみている。
「私が思うに簗大臣には『俺は高市首相のお気に入りなんだぞ。首相本人に、直接モノを言えるんだぞ!』という驕りから、あの暴言へとつながったと思います」
高市首相は衆院選の応援演説で、「もう、とにかく私の大事な簗ちゃん。私の知恵袋の簗ちゃん。いなかったら大変。本当に大変です」と溺愛ぶりをアピールしている。
■沖縄振興予算も同じ…「民主主義の買収だと思う」
7日の国会答弁では、高市首相は「適切な予算の配分を徹底させる」と弁明していたが、「首相と簗大臣は、根本的な考え方は同じではないか」と戸羽氏はみている。
「高市首相は10月1日のテレビのインタビューでも、食品消費税率が現行の8パーセントから1パーセントに引き下げられたときに、それ以前と同じ値段で売っているお店があったら『その店の風評に関わる』と発言したんです」
今国会の焦点となるのが「飲食料品の消費税減税法案」の議論だ。
高市内閣は2027年4月から2年間限定で食料品の消費税を「8パーセントから1パーセントへ減税する」方針を閣議決定しており、10月1日の日本テレビによるインタビューで「今日から消費税率が引き下げられましたという時に、同じ飲食料品を昨日と同じ値段で売っているお店があったら、その店の風評にも関わります」と発言していた。
「この高市首相の発言には、SNSでも多くの批判が集まっています。この消費税減税法案は閣議決定された段階の政府案です。政府の決定は絶対であり、それに従わないお店は信用にかかわる、つまり値下げすべしと強要しているようなものです」
また、9月の沖縄県知事選で自民党などが推薦した古謝玄太氏(42)が当選したが、政府は6年連続で3000億円台を下回っていた沖縄振興予算を2027年度から3000億円超に増やす方向で調整に入ったことが報じられた。
「野党各党が応援してきた玉城デニー前知事(66)から、自民党が応援する古謝新知事へと交替した途端、『仲間を選んでくれたから、増額しましょう』という論法です」
戸羽氏は、これらが「高市首相と簗大臣に共通する考え」であり、「やりかたが露骨すぎる」と警鐘を鳴らす。
「自分たちの決定に従わない人には耳を貸さない、自分たちを支援しない自治体にはお金を出さない……あまりに露骨ですよね。
こんなことばかりがまかり通ってしまうと、国民には『本当は応援したくないけれど、自民党の候補を当選させないと、わが町が損してしまう』というおどろおどろしい歪んだ状態を生んでしまう恐れがある。
まさに高市内閣の“恫喝”に等しく、これは民主主義の買収だと思います」
画像ページ >【写真あり】陸前高田市の復興のため尽力してきた戸羽さん(他1枚)
