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ある日の夕方、いつも行くスーパーの前で若い会社員のお父さんとすれ違いました。なぜお父さんと分かったかと言うと、片手でベビーカーを押していたから。なぜ、会社員だと分かったかと言うと、背広を着てもう一方の手にはビジネスバッグを抱えていたから。想像してみてください。このお父さんは会社帰りに託児所に寄り、預けていた赤ちゃんを引き取ってスーパーに立ち寄ったわけです。

 

その直後、ローラースケートのお父さんとすれ違いました。なぜお父さんと分かったかと言うと、後ろから娘さんがやはりローラースケートを履いて必死で追いかけていたから。そしてこのお父さんは毎日、私が買い物をする時間に同じ場所を娘さんと走っています。これが彼らの日課なのでしょう。

 

フランスの若いお父さんたちはみんなイクメンです。それはお母さんたちが働いている証拠でもあります。なので、お父さんたちは自分のことをイクメンとは思っていません。ごく当たり前のことと考えています。いえ、考えてさえいないでしょう。フランスでは当然だからです。日本とはそこからして差があるということ。

 

私はここフランスで自分が普通だと気づかされました。日本に帰ると、シングルファザーの代表みたいになっているのですから。日本のお父さんとフランスのお父さん、仕事量は一緒です。日本のお父さんたちの方が大変だとも思えません。そして、フランスのお母さんたちも、私が知る限り、なんらかの仕事をされている方がほとんど。問題があるとしたら、女性が働く環境が日本はまだまだ整っていないということ。だから、お父さんに負担がのしかかるということはあるかもしれませんね。

 

それでも、日本のお父さんたちがもう少し積極的に子育てに参加したらいいのに、と思います。余計なお世話だからあまり言いませんが、最近気になっていたので文章にしてみました。子供を育てながら働くことが当たり前という意識がお父さんに芽生えれば、世の中もそれに合わせて変わる気がします。これは特別なことじゃないと思いますよ。フランスの男たちだから出来る? いや、まさか。フランスの男たちに出来るのだから、日本の男にも出来るはずです。男の子育ては決して恥ずかしいことではありません。

 

さて、今日は栄養満点、がっつりパワー系のカレー風味の豚肉ロースト「ポークオーキュリー」をご紹介しましょう。お休みの日にご夫婦2人で仲良く作ってみてはどうでしょう?

 

材料:豚肩ロースの塊肉約1kg、にんにく4片、じゃがいも500g、玉ねぎ大1個、熱湯300ml、ブイヨン1個、カレー粉小さじ1、乾燥タイム2つまみ、ローリエ1枚、塩・こしょう適量、生クリーム100ml、オリーブオイル適量、お好みでマスタード適量。

 

まずオーブンを200度に予熱。豚肉はナイフの先で16カ所に穴を開け、1片を4等分にしたにんにく16個をその穴に差し込んでいく。じゃがいもと玉ねぎは2㎜くらいの厚さにスライスし、じゃがいもは水にさらしておく。フライパンにオリーブオイルをひき、水気を切ったじゃがいもを炒める。じゃがいもに火が通り透明になってきたら玉ねぎを加え、しんなりしてきたら耐熱容器に移す。熱湯でブイヨンとカレー粉を溶かし、乾燥タイムとローリエを加える。耐熱容器に移したじゃがいもと玉ねぎがひたひたになるまでスープを注ぎ、その上から生クリームを注ぐ。塩・こしょうを振った豚肉をフライパンで焼いていく。しっかり焼き色がついたら、耐熱容器の中央に置き、今度は200度のオーブンで1時間から1時間15分ほど焼く。フォークで刺し、肉汁が透明になったら完成。

 

お好みでマスタードをつけても美味しいですよ。夫婦合作の愛情料理、いかがでしょう。

 

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