婚活女子:音羽 ヒカル子

30代前半、独身、彼氏ナシ。絶賛婚活中だが、ナポリタンを愛するあまり、ナポリタン以上に愛せる彼に巡り合えない私。そんな私は、とりあえず気になった男性とデートを重ねる日々を繰り返すが……。はたして私は、愛するナポリタンを超える理想の相手と結ばれることができるのか!?

「ナポリタンより魅力がない人、ナポリタンに対する私の思いを理解してくれない人、そしてナポリタンに対して敬意を払わない人はアウトなんです。」

■■今回の妄想彼氏(仮)■■

性格:癒し系男子、優しい、甘え上手。

外見:中肉小柄

出会い:会社の前で営業している、移動販売車のコーヒーショップ店員。

関係性:以前から2人はご飯に行く関係。癒し系・年下男子のカレは、愚痴も聞いてくれるし、よく褒めてくれる。ただ、若干ヒモ男なのが玉にキズ。

image

今日は休日だし、お花見がてらナポリタンを食べようと、携帯の電話帳を検索。

 

「今日の彼は誰にしようかな……」

 

最近、残業続きで疲れが溜まっているから、「“癒し系”の彼がいいなぁ~」なんて思っていたら、LINEが1件。「えっ」思わず声をもらした。“癒し系”の彼から連絡だ。なんだろう。

 

「お腹すいた。(=´▽`=)」

 

「えっ?(笑)」私は再び声を出してしまった。

デートの誘いかと思って、ドキドキしたのに……ご飯をねだってくるとは。そもそも、私にご飯求めるって何なの。私はあなたの母親なわけ?というより、お前は子犬か!私はあなたの飼い主じゃない!と、1人で不満をブツブツ言いながらも、まぁ、とりあえず良しとしよう。一緒にナポリタンデートをする相手が見つかった事だし。

 

「了解~。ナポリタン食べに行かない?」と、軽く送信ボタン押す。

すぐに既読がつき、返信が返ってくる。さすが、10コも年下だと反応も早い。

 

「やった(^^)v久々にヒカル子さんに会えるー。楽しみにしてるね」

 

素直な彼。誰にでも平気でこういうこと言えちゃうんだよね。“素直さ”って、時として罪。

 

テンションがた落ちだったけど、彼の素直な言葉から、不意に彼の屈託のない笑顔が浮かぶ。彼の“思うツボ”だと分かってはいるものの、負けた。彼の素直さに敗北……。

 

「よーし、ナポリタンごちそうしてやるか!」

 

自分でもよく分からない気合いを入れ、待ち合わせ場所に向かう。

 

今回のお店は、東京・新宿にある『星乃珈琲店』をチョイス。彼は、喫茶店にほとんど行ったことがないみたいだったから、若い子でも入りやすい“話題の”喫茶店にしてみた。

 

最寄り駅から徒歩3分。夕方過ぎに訪れると、小さな行列をなしていた。「ヒカル子さーん!!」と、列の後方から笑顔で手を振る彼。一昔前のドラマのキャラみたい。今時いるんだこんな人(笑)。

恥ずかしさを隠しながら、私も小さく手を振る。行列を見越して並んでくれていたと思うと、今までとは違うカレの成長した姿にちょっと嬉しくなる。(母親みたいだな…私(笑)。)

 

15分後に、ようやく店内に案内される。パッと見渡す限り、店内の8割は女性客が占めている。実はここのお店、近年ブームの“パンケーキ”でも“話題”なんだよね。カウンター席もあって、1人で来訪しても気にならない。メインメニューはいたってシンプル。ナポリタン、パンケーキ、ミートソース・スパゲティにサンドイッチ……喫茶店でお馴染みのメニューが顔を揃える。

 

「どれにしようか、迷うね。」

「んー。俺はパンケーキと、サンドイッチと、ウインナーコーヒーと……」

 

彼の口から“ナポリタン”のワードが出てこないことが、唯一気になるところ。私たちがどうしてここに来たのか分かってないな、彼。私がナポリタン好きなこと知ってるはずなのに。

 

とりあえず、好きなものを好きなだけ頼むよう、メニュー選びは彼に任せた。これって、もしかして彼のペースに巻き込まれてる……?私らしくないけど、まぁいいか。

 

「私はナポリタンで」

 

注文を終えて、およそ20分後にメニューが運ばれてくる。

メニューが揃うと、彼が「2人でシェアして色んな味を楽しもう!」と満面の笑みで私に話しかける。

 

一気に顔が熱くなる……なんか、照れるな。

 

さっきまで彼にイライラしていた自分が嘘のよう。やっぱり、彼のペースにハマってしまっているようだ。

 

そんな私に見向きもせず、彼は運ばれてきたナポリタンを食べると、「うまい!ナポリタンってこういう味だったっけ。やっぱり、ケチャップがいい味だね」と言いながら、独り占めしている。

彼からナポリタンを一口もらうと、細麺にさらりとした甘みのあるケチャップソースがよく絡んでいて食べやすい。炒め具合は弱く、“焦げ”特有の香ばしさはないけれど、ガーリックが効いているので、平坦なトマト味のアクセントになっている。

 

彼は、ナポリタンを食べるのは久々の様子。チーズを豪快にかけながら頬張る。

 

「ナポリタンの味分かっているのかな。というより、ナポリタンの味じゃないよね、これ」

 

そんな疑問がふと頭をよぎり、思わず問いただしてみた。

 

「ねえ、ナポリタンの何が美味しい?」

 

すると、彼は、「そうだなー。正直、ナポリタンって、付け合せのイメージ。サイドメニューのパンケーキとかサンドイッチの方がメインっぽいよね。」

 

「えっ!?」(3度目の驚き)なんで、そういう答えになるの!?

 

その時、私の中で何かが切れた。ナポリタンがメインじゃないなんて言語道断。ナポリタンあってのサイドメニューでしょ!それに、最初から彼は“ナポリタン”そのものを味わおうとしてなかった……注文すら“ナポリタン”を忘れていたからね。そもそも“ナポリタン”の味を大きく変えてまで食べる姿勢が許せない!チーズをナポリタンにかける“ちょうど良さ”を分かってない!成長したカレを好きになりかけていたのに……極めつけは、“ナポリタンがメインじゃなくて、サイドメニューが“メイン”ってこと!そんなイメージでナポリタンを食べていたなんて……

 

1人落ち込み、むなしくナポリタンの麺を巻く私。

 

「また、次を探すか」

 

一瞬、心が揺れかけたけど……“ナポリタンの本質”を分かっていない男なんて論外。やっぱり“ナポリタン”を味わおうとしない男は私にはいらない―

今日のヒトミコト『妄想を繰り広げる女性記者ヒトミのTwitter連動コラム』  @hitominapoli

image

今回、訪れた「星乃珈琲店」は、ナポリタンもさることながら、 “パンケーキ”でも有名。そんな人気喫茶店のナポリタンはどんな味なのか気になって注文!“ナポリタン”というより、おしゃれな“イタリアンパスタ”のような見栄え。甘めのケチャップソースが印象強いけれど、ガーリックと香辛料がピリリと効いていて大人の味になっています。

 

流行にのりたいヒト ★★★★★

オシャレナポリタンを食べたいヒト ★★★☆☆

2人の距離 ★★☆☆☆

関連カテゴリー:
関連タグ: