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最近公開された映画『地球が壊れる前に』。これは、国連平和大使であるレオナルド・ディカプリオが、いま地球で起きている気候変動の実態を探るために、二年間世界を旅した記録映画です。食べ物から電氣やガスなどのエネルギーまで、普段わたしたちが何の疑問もなく消費しているものが、地球の裏側で生態系にどのような影響を与えているか知ることができます。ナショナルジオグラフィックチャンネルのホームページで、数日間限定で無料上映をしていたので観てみました。

 

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大気汚染が深刻化して健康被害が続出している北京。貴重な原生林が失われていくインドネシア。異常な豪雨によって農作物が流されて暮らしが成り立たないインド。道路が冠水してしまうマイアミ。科学者の予想を上回る速度で氷が溶けていくグリーンランドや北極。地球が何十億年も大切にしてきた海や川や森や動植物たちが、わたしたち人間が利益や市場を優先することによって、みるみるうちに命を奪われて、地球がボロボロになっていることを目の当たりにして、絶句したり涙したり感情がかなり揺さぶられました。この映画が軸として取り上げているのは、石油、石炭、天然ガスの化石燃料です。石油は主に輸送用燃料、石炭や天然ガスは発電用燃料としてターゲットになっています。気候変動を止めたいなら、化石燃料が経済の土台となっていることを知ることだと、この映画で述べられています。

 

化石燃料採掘の映像を実際に見て、あまりの酷さに胸が引き裂かれそうになりました。地表を爆発させて石炭を得る露天掘り。地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を作って天然ガスを得る水圧破砕法。海を汚してしでも石油を得る海上採掘。そして、最も破壊的と言われているオイルサンド採掘。これは、石油を含む砂岩に穴を開け、地下に熱い蒸気を注入して、油分を地表に浮き上がらせる方法です。野生動物が住まう豊かで広大な森林が伐採され、むき出しになった地表にドロドロのタール状の黒い石油が溜まっているのを見て、ここは地球ではなく地獄ではないかと思ったほどです。電氣を使えば使うほど、地球にはたくさん穴が開き、表面はタールだらけになってしまい、美しい大地は地獄のような世界にしてしまうのです。

 

わたしは、「ガイア理論」を支持しています。ガイア理論とは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げているとして、地球をひとつの巨大な生命体とみなす理論です。人間のカラダが一つの生命体であるように、地球も一つの生命体。龍村仁監督の映画「地球交響曲 ガイアシンフォニー」は、その世界観が反映されていて、とても参考になるのでよく観ます。

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わたしたちのカラダに存在する60兆個の細胞、各臓器や器官、流れる血液やリンパ液など、それらすべての存在に役割と機能があり、それらが正常に連携し合うことで今日も健康に生きていられます。地球に存在する山や海や川や動植物や土壌菌など全てのものも、地球が地球でいられるために役割と機能を与えられていて、それが繋がり合って地球を生かしているのだと思うのです。石油や石炭や天然ガスが地球に存在し、しかもその内部にあるということにもちゃんと意味があるはずです。あるべき場所にあるべきものが存在していないと、全てのバランスが崩れてしまいます。また、化石燃料が底をつくまであと50年ほどと言われていますが、それらが地球から無くなったときに地球にどのような影響を与えるかはかり知れません。

 

国連でのスピーチで、主演のレオナルド・ディカプリオはこう言っています。

 

「旅で見た光景に、わたしは大きな恐れを抱きました。今、大きな革命が必要です。世界の意識を変え、かつてない進化を遂げるのです。そのためには、みなさんのお力が必要です。(気候変動について)21年も議論をしつくしてきました。もう会議や言い訳、長期間の研究は必要ないでしょう。このあたりで化石燃料業界には政治などへの介入をやめてもらいましょう。みなさんの行動が未来の世代の運命を決めます。みなさんは地球の最後の希望です。今行動しなければ、地球上に存在するすべての命が失われるのです」

 

この映画の原タイトルは、『BEFORE THE FLOOD』で、直訳すると「大洪水が来る前に」となり、旧約聖書創世記に書かれている大洪水とかかっていると思われます。実は、以前からわが家のオフグリッドは「ノアの方舟」みたいだと思っていました。災害時に強く天災が起きても生き残れるという意味もありますが、それよりは、地球という舟を救うという意味で捉えています。映画の中で出演している潘国連事務総長も、「広大な宇宙から見れば、地球はとても小さなボートです。そのボートが沈みかけていて、我々は全滅するかもしれません」と言っています。今のまま化石燃料を暮らしのエネルギーに使い続ければ、地球はそのカラダが持たず、人間もろともボートは沈んでしまうでしょう。

 

しかし、電力会社やガス会社とオフグリッドして、各家庭が太陽光で発電したり、太陽熱温水器でお湯を沸かしたり、ソーラークッカーで調理をすれば、石油も石炭も天然ガスも使わず、化石燃料に頼らず地球も人間も平和に暮らしていけます。地球の悲鳴が聞こえてくるような、化石燃料という「死」のエネルギーで生活するのではなく、万物に命を吹き込む太陽という「生」のエネルギーで生活する。船上員であるわたしたち人間が、このようなライフスタイルを選択して舵を切れば、まだ間に合うはずです!何を買い、何を消費し、どうエネルギーを得るのか。ぜひとも一度この映画を観て考えてみてください。そして、化石燃料からオフグリッドして、21世紀版の方舟を一緒に創り上げていただく仲間となってくださる方を募ります!

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