第104灯　ソーラー焙煎する「スローコーヒー」♪それはグッド・バイブレーションなコーヒーだった！

ずっとずっと気になっていた千葉県松戸にある「スローコーヒー」さん。オフグリッダーの間で有名なコーヒー専門店です。なぜなら、こちらは太陽光発電でつくった電氣100％でコーヒーを焙煎しているからです。また、材料となるコーヒー豆はフェアトレードでオーガニックというこだわり。“スロー”“オフグリッド”“フェアトレード”“オーガニック”など、ワクワクするキーワードがいっぱい！そんなユニークなカフェを訪れて、代表の小澤陽祐さんにインタビューさせていただきました！

新京成線の八柱駅から7分ほど歩いたところに、そのカフェはあります。店内に足を踏み入れると、大きな窓から太陽の光が燦々と入っていて、そこはきもちいい空間。自社の商品が可愛らしく品よく並んでいて、とてもおしゃれな雰囲気です。

さっそく本日のコーヒーとオープン当初からあるティラミスを注文♪この日はエクアドル産のフェアトレードのコーヒー。ほどよい酸味の中にコクと甘さを感じる美味しさで、これが太陽の力で作られた電氣で焙煎されたんだと思うと、なんだか愛おしさを感じます。

それにしてもなぜ100％太陽光発電した電氣でコーヒーを焙煎しようと考えたのでしょうか。さっそく小澤さんに聴いてみます。

「きっかけは6年前の東日本大震災による原発事故です。とても衝撃でした。その後始まった無計画な計画停電のせいで焙煎機を動かすことができなくて、2週間ほど休業することになったんです。原発の電氣に振り回されずに生きていきたいと思ったときに、スタジオジブリが社屋に『スタジオジブリは原発ぬきの電気で映画をつくりたい』という横断幕を掲げているのを見て、ものすごく元気が出てきたんです。それで、スローコーヒーもそうしたい！と思ったんです。」

いざソーラー焙煎システムを導入しようと取り掛かってみると、予算の規模が意外と大きくなることがわかりクラウドファンディングすることにしたそうです。2015年5月にスタートすると、250人もの人たちが応援して、110万円の予算を上回る150万円を達成！小澤さんの夢はみんなの夢にもなったのでした。

それから藤野電力（藤野電力については第96灯をお読みください）の協力のもと、ショップから少し離れたところにある本社にオフグリッドシステムは構築されました。

こちらが太陽がつくった電氣で動くソーラー焙煎機です！焙煎したてのスモーキーでフレッシュな香ばしいコーヒーの香りが空間いっぱいに満ちていて、とてもしあわせな気分になります♪

この焙煎機が動く仕組みは、建物の屋上に設置されている8枚のソーラーパネルで発電された電氣。一枚につき240Wを生み出すパネルなので、8枚で約2kWh発電します。

こうして屋上の太陽光パネルで生み出された電氣は、一階の本社入り口にある物置に設置されているバッテリーにチャージされて、焙煎機のモーターを回しています。

電力は余るくらいだそうですが、わが家同様に余剰電力を電力会社に売るようなことはしていません。なぜならソーラー焙煎の目的は売電収入や電氣代の節約ではなく、さらなる“グッド・バイブレーション”なコーヒーをお届けすることだからだそうです。実際に、自然エネルギー100％で焙煎するようになってから、その変化を実感されているとのこと。

以前第11灯で、オフグリッドにしてから音楽の音が澄んで聞えることや、家電が喜ぶ声が聞こえてくることについて書いたことがありますが、これはオフグリッドにした人は口を揃えて言います。石油・石炭・原子力など地球を傷つけて大気や大地を汚して作られる電氣や、日本中に張り巡らされた黒い蜘蛛の巣のような電線を伝ってやってくる電氣は、心身ともに不健康にさせるバッド・バイブレーションな電氣だと感じているので、小澤さんのお考えに深く共感しました！

いまの社会が抱えている問題を、前向きな思考と姿勢でみんなと手を取り合って取り組む小澤さん。もちろん原発事故という衝撃的な経験をしたことがこのソーラー焙煎へと後押ししたことは確かですが、お話しをお伺いしていると、もっと前からその素地があったのではないかという印象を感じます。そのことについてこのようにお話ししてくださいました。

「コーヒーを仕事にするにあたってコーヒーについて勉強していたときに、フェアトレードやオーガニックという考え方に出逢ったことが大きいと思います。アンフェアなものよりフェアなものの方がきもちいい、農薬や化学肥料漬けのものよりオーガニックなものの方がナチュラルで心地よい。そういうことを自分の言葉や行動を通して伝わって広がっていったらいいなと思って続けています。こっちのライフスタイルの方がカッコよさそうだと思ってもらえたら、それを選択する人が増えて自然と広がって、社会はよい方向へ変わっていくはずだと思うんです」

着ているお洋服や帽子、考え方や生き方、選ぶ言葉や話し方、どれをとってもオシャレでカッコイイ小澤さん。わたしもその魅力に圧倒されてしまいました。周りの人たちは小澤さんを見て、「カッコイイ！真似してみたい！」と思い、自然とフェアトレードやオーガニックやオフグリッドを選びたくなってしまうのかもしれません。

小澤さんとわたしの出逢いは、エコ作を購入していただいたことがきっかけです。今は太陽が生み出す電氣ではなく、エコ作を使って太陽の力そのもので焙煎する“パーフェクトソーラー焙煎”に挑戦中！さらなるグッド・バイブレーションなコーヒーが、スローコーヒーから世に生み出されるかもしれません♪これからもそんな時代の先を小澤さんから目が離せません。小澤さん、この度は貴重なお話しと美味しいコーヒーをありがとうございました！