【玉置妙憂の心に寄りそう人生相談】故郷の母が要介護に…でも帰る決心ができない

【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第40回>

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

遠く離れてひとりで暮らす母に介護が必要になりました。これからも母の要介護度が高くなることを考えると、いつかは帰郷して母の面倒を見たいと思っています。そんな折、私の勤務先の会社が早期希望退職の募集を開始。退職金も上乗せになるとのことで、いっそ会社を辞めて故郷に帰ろうかという気持ちが日増しに強くなっています。一方で上洛してから25年。子どもたちを育てた家は京都にあり、都会に深い愛着があるのも事実。ふん切りがつかない状態でいます。このような判断を迫られたとき、どのような基準で決断するのがよいのでしょうか。(58歳・男性・会社員)

 

【回答】

親の介護。頭の痛い問題ですね。あれこれ悩まれ、ふん切りがおつきにならないのも無理ありません。心中、お察し申し上げます。

 

さて、そのようなとき、どのような基準で決断すればいいのかということですね。あくまでも私の感覚で申しますが、判断基準は「ケツを持てるか」です。

 

人間は5秒で損得を考えだすそうです。行動を起こそうとしたとき、ほんの5秒間躊躇するだけでもう「どっちが有利だろう」「こうしたほうが得なんじゃないか」「世間体というのもある」「長男の立場としてはどうするべきか」と、まあ数えきれないくらいの損得を考えはじめてしまうそうです。

 

それが「人間というものだ」とのことですから損得を考えるのはよいのですが、問題なのは損得に振り回されて本当のところ「自分はどうしたいのか」が抜けてしまうことだと思うのです。

 

決断するということは、ひとつを選んで、そのほかを捨てるということです。そして、そのひとつを選んだことによって生じるすべての結果に対してケツを持つ覚悟をするということです。「自分はどうしたいのか」に忠実に従って選んだ末の結果でなければ、覚悟を持ち切らんでしょう。

 

そして、そのケツを持つ覚悟があれば、自らが下した決断はすべて「最良の決断」になります。たとえすべてを失い、世間様には大失敗だとせせら笑われようともです。

 

ここで今一度、ご自分が大切にしているもの、守りたいもの、失いたくないもの、貫きたいもの、譲れないもの、愛しているもの、それがなんなのかをすべての外界をシャットアウトして考えてみてください。

 

あなたさまが「ケツを持つ」と覚悟できる方へ進めば、あなたさまの周りの方々もみな安定します。場が安定すれば、未来は開けます。私はそう思っています。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。

関連カテゴリー: