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【今週の悩めるマダム】

コロナの影響で、飲食店勤務だった夫が失業しました。以前は穏やかで優しい人だったのに、自暴自棄になり、家でずっとお酒をあおる日々です。泥酔して、ひどいときは私に手をあげてきます。話し合いをしようとしても、怒鳴られて終わりです。もう、離婚するしかないのでしょうか……?(大阪府在住・50代女性)

 

「もう、離婚するしかないのでしょうか」というのは早すぎる結論ではないでしょうか。なぜなら、ご主人は失業したばかりで、しかも、「穏やかで優しい人」だったわけですから。たとえば、ご主人に好きな人ができて、家に帰ってこなくなり、若い女と再婚したくて「離婚してくれ」と言われたのなら、僕は離婚をおすすめします。でも今回はそうではありませんよね。

 

それに離婚されたら、経済的にはもっと過酷な問題が押し寄せてきますよ。現実的な話で申し訳ありませんが、コロナ離婚後に大変な思いをしているという記事をよく目にします。我慢しろとは言いませんが、支えてあげるということのなかには、彼の苦しみを理解してあげることも含まれています。お酒しか逃げ道がないのです。そういうときに声をかけても、かえって逆効果。ご主人は癒されないところに追い込まれているのですから、しばらくそっとしておくのがいいでしょう。

 

いつか、この理不尽な現実を受け入れられる日がきます。今はまだ、コロナごときで俺の人生を潰されてたまるか、という気持ちが前に出ているのです。しかし、コロナ禍はまだ始まったばかり。そのなかで現実を受け入れ、再び立ち上がろうとするタイミングが必ず出てきますから、ここで奥様の優しい言葉や思いやりが必要になるのです。こういうときこそ大事なのは、力を合わせて乗り越えていく夫婦の絆。僕が偉そうなことは言えませんけど、夫婦ってこういう苦しいときに力を合わせる運命共同体なのだと思うのです。励まし合い、支え合うもの。

 

僕は、想像したこともなかったシングルファザーになったとき、一人で生きる過酷さを思い知らされました。正直もう慣れましたが、最初は子どもを抱えて、右往左往したものです。「苦しいときに支えてくれるパートナーがほしい」と何度も思いましたよ。今だって思いますけど(笑)、もう息子も再来年大学生で、フランスでは成人になります。「あと一息だ、もうちょっと頑張ればいいんだ」と自分に言い聞かせて、奮闘している次第です。

 

もしコロナ禍じゃなければ、僕は奥様に「離婚という選択肢もある」とアドバイスしたかもしれません。でも、今は状況がちがいます。このコロナ禍は僕たちが想像しているよりもずっと大変なことなのです。優しかったご主人を思い出して。穏やかだったご主人を思い出して。あなたがご主人と出会い、恋をして、結婚して、一緒に生きてきたなかで、ともに笑い、肩を寄せ合い、幸福だった時間がたくさんあったでしょう? そんな幸福な思い出を糧にして、今はこの悪魔と闘うのです。こんなことで離婚して、幸せをふいにする必要があるでしょうか。今、ご主人に必要なものは、離縁ではなく、妻の愛なのですよ。

 

【JINSEIの格言】

差し出がましいことを言うようですが、「もう、離婚するしかないのでしょうか」ではなく「こんなことで離婚してたまりますか」が適切な受け止め方ではないか、と僕は思うのです。

 

この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします! お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】(@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。 ※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。

 

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