【今週の悩めるマダム】
最近、夫の会社で新型コロナ感染者が出ました。社内に濃厚接触者が何人もいるので、できれば会社に行ってほしくありません。そこで在宅勤務を勧めてみたら「そんなに簡単な仕事じゃないんだ!」とすごい剣幕で怒鳴られました。心配しているだけなのに、なぜ怒られなければいけないのかわかりません。 (埼玉県在住・50代主婦)
僕が暮らすパリではいま、感染爆発ともいえるような状態が続いています。10月17日からは夜間外出禁止令、10月30日からはロックダウンが始まりました。主に感染拡大しているのは、家庭内と会社内のようです。多くの人が働く狭いオフィスでクラスターが多発しています。そこで、フランスでは政府が企業を指導し、現在は在宅勤務が奨励されています。企業もそれに従うところが多いです。
しかし日本の場合は欧米ほどの感染者数ではありません。それにも関わらず、コロナ対策のせいで経済が厳しくなってきたのも事実です。「いつまでも在宅勤務というわけにはいかない」という企業側の懐事情が優先されても仕方がないですね。感染は防ぎたいけど、仕事をしないと生きてはいけません。背に腹は代えられない、ということでしょう。
ご主人の場合も、会社員の立場から、そう言わざるをえないジレンマがあるんじゃないでしょうか。怒鳴ってしまったのは、「本当は俺だって安全な場所で仕事をしたい。でもできない」というイライラからだと思います。また、奥様の言葉がどこか他人行儀に聞こえてしまうのかもしれません。「心配しているだけなのに、なぜ怒られなければいけないのかわかりません」という言葉も、「心配してあげてるのに、なんで怒るのよ」という風にもとれてしまいますね。
まずご主人の苦しい立場を理解してあげて、ご主人が感染しない方法を、できれば一緒に考えてみてはどうでしょう? ご主人の職場環境がどういう状況か、どういう対策をとっているのか、ご存じですか? もしよく知らないのであれば、まずは知ることからはじめましょう。社内で感染者が出たわけですから、保健所から指導も入っているでしょうし、相当気を付けているはずです。社員全員、PCR検査をやっているはず。偽陰性というのもあるので、怖いというのは理解できますが、今は、誰がウイルスを持っているのかわかりません。ほぼ、無症状ですからね。
なので、とにかく完全予防をしていくしかないのです。フランスの科学者によると、手から感染する割合が飛沫感染より圧倒的に高いらしいです。フランスの企業では、1時間に1度は必ず手を洗うよう指導されています。そして目や鼻は絶対に触らないこと。その上でマスクをして仕事をしているのであれば、感染する確率は相当低いと思っていいと思います。コロナを防ぐためには、まず、基本を守る、油断をしない、の2点が重要。あとは、職場のこまめな換気も必要ですね。ご主人が帰ってきたら、すぐにお風呂場に直行させて。そして奥様はスーツなどの消毒! 夫婦で協力し合って感染対策をすれば、絆が深まりますよ。
【JINSEIの格言】
奥様にできることは、ご主人の不安な気持ちに寄り添い、コロナが収束するまで、彼の身を一緒に守ってあげることです。その寄り添う姿こそ、ご主人を励ましてくれるはずですから。
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「女性自身」2020年11月17日号 掲載