■撮影中に意識を失い、気がつけば病院に
初井言榮さん演じる祖母から、折檻されるシーンも印象に残っている。
「テレビ局には『そんなにぶたないで』という手紙が届くこともあったほどですが、初井さんはちゃんと寸止めしてくださっていました。でも、私は痛い表情がなかなか作れなくて。そんなとき、監督から定規でペシッと叩かれて『その顔だよ』と言われて、ハッとしたことも。父親役の前田吟さんは、私が監督に怒られてどうしていいのかわからなくなると、私が冷静になれるよう『お手洗いに行く』などと理由を作り、『大丈夫、大丈夫』と励ましてくださいました」
教師役の山下真司に何度も投げ飛ばされるシーンにも挑戦。
「20回も30回も投げ飛ばされていると、お互いに疲れて間合いが悪くなるんです。それで、受け身をうまく取れずに、頭を強く打ってしまいました」
意識を失い、気がついたのは病院だった。
「目が覚めたとき、3人くらいの医師がじゃんけんをしていました。レントゲンを撮るときに上半身裸になるからなのか、誰が担当するのかを決めていたみたい」
むちうちと診断され、最低1カ月は首にコルセットをするように指導されたがーー。
「もちろん、次の日の朝から、普通に撮影に戻りました。悪夢を見てガバッと起き上がるシーンは痛くてできませんでしたけど(笑)」
体を張った撮影現場が、女優として成長させてくれたのだ。
【PROFILE】
杉浦幸
’69年、東京都生まれ。『ヤヌスの鏡』の主役に抜擢されて芸能界デビュー。女優のほか、パチンコ番組やバラエティ番組などで活躍。最新情報はオフィシャルブログをチェック
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