フラワースタイリストとして活躍する現在の大河内奈々子 画像を見る

「あるとき、当時の所属事務所から『いじめる役と、いじめられる役、どっちがいい?』って聞かれまして、いじめるのは精神的に疲れると思って『いじめられるほう』と答えたんです。後になって『じつは昼ドラがあるんだよ』って聞かされて、それが『牡丹と薔薇』だったんです」

 

出演経緯を振り返るのは、大河内奈々子さん(47)だ。朝5時に起き、6時にはスタジオ入り。撮影終了が深夜0時を越えないように努力しているような、ハードな撮影現場だったという。

 

「覚えるセリフもすごく多いのですが、必ず守らなくてはならないのが『中島丈博さんの脚本は、一言一句、間違えてはいけない』ということ。カメラの横で助監督が、台本片手に赤ペンを持ってチェックしているんです。長ゼリフのシーンで、最後に語尾を間違えて最初からやり直し、ということが何度もありました」

 

中島氏の脚本といえば、昼ドラ『真珠夫人』(フジテレビ系)では、嫌がらせのシーンで登場した“たわしコロッケ”が話題になった。

 

「『牡丹と薔薇』ではどんなものが出てくるのか楽しみにしていたので、台本に“牛革財布ステーキ”を見つけたときは、私のシーンではありませんでしたが“今度はコレか!”と、テンションがあがりました」

 

妹役を演じた小沢真珠からは、とにかく罵られたり、暴力を振るわれるシーンが多かった。

 

「『牡丹じゃなくて、ブタよ!』って(笑)。でも、小沢さんと並ぶと私のほうが背が高く、強く見えてしまうから、たたかれたり突き飛ばされるときは、私は膝をついていたりしました」

 

スタジオばかりでなく、極寒の過酷なロケも経験。

 

「2月くらいに神社でレイプされるシーンがあったんです。しかも雨が降っていて……。普通なら肌着を着て寒さ対策しますが、服を破られて半裸になるシーンだったので、それもできず、インフルエンザに。共演している峰岸徹さんにもうつしてしまって、ご迷惑をおかけしました」

 

灰皿を投げられたり、泣くシーンも、とにかく多かった。

 

「“いったい、何のために泣いているんだっけ”と混乱してしまうくらい。でも、ほぼすべてのシーンで本当に涙を流しました。泣くことに関しては誰にも負けない自信もつきました」

 

こうした努力があったからこそ、空前の“ボタバラ旋風”が巻き起こったのだ。

 

『牡丹と薔薇』(東海テレビ/フジテレビ系・2004年)

数奇な運命に翻弄されたぼたん/真世(大河内奈々子)と香世(小沢真珠)姉妹の狂気の物語。「役立たずのブタ!」などの罵詈雑言、暴力、姉妹のキスなど平日午後のお茶の間に衝撃を与え、「ボタバラ旋風」と呼ばれる社会現象に。

 

【PROFILE】

おおこうち・ななこ

1977年生まれ、東京都出身。雑誌『SEVENTEEN』の専属モデルとしてデビュー後、数多くのドラマ映画で活躍。女優業とともにフラワースタイリストとしても活躍。

 

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