埼玉県朝霞市で行方不明になった女子中学生(15)が約2年ぶりに保護された事件で、未成年者誘拐の容疑で逮捕された寺内樺風容疑者(23)。彼は捜査関係者にこんな驚愕の事実を語っていたという。
「中学時代から女の子を誘拐したいという願望があった」
あまりにゆがんだ、その少年時代――。寺内容疑者の実家は、大阪府池田市内にあった。入口が2つある一戸建てで、両親と妹の4人家族。父は年商6千万円を稼ぐ防犯グッズの通販会社を経営している。
記者が訪れたところ、家族は逮捕後もこの家に住んでいた。スーパーから宅配便が届くと、一瞬だけ父親らしき人物が顔をのぞかせる。生活用品をネット注文し籠城を続けているようだ。父を目撃した人物によると、自宅でもサングラスにマスク姿。帽子を目深にかぶる異様な姿だったという。寺内容疑者と娘が小学校の同級生だった近所の主婦は語る。
「娘に聞いたところ『彼は背も低くてとにかく暗い。普段は何かを聞いたときだけ答える感じで、あまり話をしない人だった。でもなぜか、クラスのいちばん大人しい女の子が集まるグループだけには積極的に話しかけてた』とのこと。成績はよかったみたいで、中学受験でも彼だけが難関とされる大阪教育大付属池田附属中学校に合格したそうです」
家族の期待を受け、エリート中学に進学。パソコン部に所属するかたわら鉄道にのめり込み、自宅には大きな模型があったという。このときすでに誘拐願望が芽生えていたと供述する寺内容疑者。中学の同級生もこう語っている。
「彼は『恋愛対象は自分より年下で、小学生くらいがちょうどいい』というようなことを普通に話していました」
高校は内部進学し、卒業文集では自身を『ハードウェアを極めた技術者』と表現。千葉大在学中には語学勉強と航空免許取得を目的に一年休学し、海外へ留学。Facebookには、当時の様子が嬉々として綴られている。いずれも高い上昇志向が感じられる話だが、帰国からほどなくして彼は誘拐に手を染めているのだ。心理教育研究所の矢幡洋さんは、寺内容疑者についてこう語る。
「彼は反社会性人格障害の持ち主だと考えられます。裕福な家庭に育ち、両親の期待に応えて有名中学に進学。その後も成功体験を味わっています。しかしいっぽうで極端な犯罪に手を染めている。反社会的行為での成功体験も欲しくなったのかもしれません。相反する行為ですが、これらは人生の両輪だったのでしょう。いびつな名誉欲を感じさせます」