「安倍内閣は女性の活用を成長戦略の柱に掲げています。先日の所信表明演説でも、女性が輝く社会を目指すと宣言していました。女性活用には私も賛成ですが、このままの政策ではうまく進むとは思えません。なぜなら、多くの女性たちの意見、世間の生の声と政策がズレているからです」

 

そう話すのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。キャリア女性を後押しするような、派手めな女性活用策を打ち出した安倍内閣。だが、その政策には世間とのズレを感じざるを得ないという。一つめのズレは、企業の女性役員登用について。

 

「内閣は『指導的立場の女性を’20年までに30%にする』ことを目標としていますが、不況で業績が上がらず役員ポストが増えないと、登用される女性の肩身も狭いでしょう。いっぽうで、『パートで働いて少しでも家計を支えたい』と考える女性も多く、今はこちらが多数派でしょう。この政策は、大多数の声を反映したとはいえないと思います。本来、役員の男女割合などは、企業がそれぞれの事情に合わせて決めることで、政府が主導することではないと思います」

 

二つ目のズレは、女性が安心して働ける環境づくり。

 

「安倍首相は所信表明演説で、保育所や学童保育の整備がすすんでいると胸を張りましたが、今年4月の待機児童数はいまだ2万人を超え、保育所が足りない状況は変わりません(厚生労働省)。また、子供はよく発熱します。インフルエンザになれば、熱が下がっても数日間は学校に行けません。そういうときに預かってくれる病児保育の整備は急務です。夜遅くまで預かってくれる施設もまだ足りません。ベビーシッターの認可制度を整え、質の高いベビーシッターが身近に増えてほしいという希望も多いのです」

 

そして、三つ目のズレが介護問題だ。

 

「来年4月から要介護2以下の方は特別養護老人ホームに入所できなくなります。要介護1や2は、認知症の傾向があり徘徊するなど、目が離せない方もいます。ヘルパーに依頼しようにも、介護保険の範囲では限界があります。家族が介護を担うのがもっとも安上がりですから、介護のために女性が仕事を辞める家庭がますます増えるでしょう。介護保険制度を再検討してほしいと思います」

 

働く女性たちが本当に困っていることを政府がくみ取れていないところが、ズレの原因だと荻原さんは言う。

 

「生の声が届かず、世間とズレた安倍内閣の女性活用政策は50点、私は、及第点はつけられません。政府には本気の対策を期待します。『女性が輝く社会』というきれいな言葉より、女性一人ひとりの声をしっかり聞き取り、地に足の着いた政策を進めてほしいものです」

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