「『選択的』というのが重要です。反対や否定的な意見の中には家族の形が変わる、崩れると言われますが、姓が一緒でも問題にぶつかったり、課題を抱えるケースもあります」(衆議院議員・鈴木貴子氏)
「夫婦は同じ姓を名乗る」とする民法の規定がある。それが結果的に女性に改姓を強いることになっていて、女性差別にあたるので憲法違反、だとして、東京や京都に住む事実婚の男女5人が国を相手どり損害賠償を求めた裁判の判決が、この16日に最高裁大法廷で言い渡される。
そもそも「選択的夫婦別姓」制度とは夫婦が結婚するときに、同姓にすることもお互いに旧姓のままでいることも選ぶことのできる制度だ。そしてどちらを選んでも、現在のようには法律上・生活上の差が出ないようになる。
世論調査では賛否が拮抗しているというが、本誌でも今回、判決を前に女性国会議員(衆議院・参議院議員)全83人に緊急アンケートを実施。多くが「夫と同姓」で21人(うち妻の姓が3人)、そして戸籍上は夫の姓だが「通称使用」は13人、夫婦別姓で籍を入れていない「事実婚」は4人、未婚は13人といった結果に。
これを見ると現在は婚姻届を出さない事実婚を実践する議員は少数派。事実婚の選択をした理由として衆議院議員の池内さおり氏は「姓を変える必要性を感じない」とし、そのことによる不便は「取り立てて感じないが、法律婚でないため、(家族手当など)受けられないサービスはある」と記した。
また、結婚当初は事実婚であったが子どもの誕生を機に婚姻届を出し同姓となったのは参議院議員の吉良よし子氏。その理由については、「子どもを非嫡出子(婚外子)としないため入籍しました。その際に、夫婦で話し合い、夫のほうが姓を変えて通称使用をする選択に。姓を変えた夫は保険証など公的な書類の名前変更を余儀なくされ面倒が増えています」と記す。
事実婚に関する著作も多い参議院議員の福島みずほ氏は、「私だけ変えていたら『なぜ私だけ大変なの』とぶち切れて夫にあたっていたかも。夫婦円満でいられたのは姓を変えず不満をため込まなかったからです」と分析する。
「選択的夫婦別姓を容認するか、反対するか」を問う質問には、返信のあった9割以上が「選択的夫婦別姓に賛成すると」回答した。その理由を詳しく見ていくと、「時代の趨勢と考える」(衆議院議員・木村弥生氏)をはじめ、自民党議員からも賛成の声が上がった。
ほかにも婚姻によって姓が変わるデメリットを記す声は多かった。
「社会や職場で活躍する女性たちの実績が途絶えたり、仕事に支障が出るなど不利益をこうむる状況は変えなければならない」(衆議院議員・斉藤和子氏)
「上司の判断で許可されない会社もまだ多いため、通称使用では本質的な解決にはなりません」(衆議院議員・辻元清美氏)
慎重姿勢の○でも×でもない「△」を示したのは参議院議員・牧山ひろえ氏だ。
「必ず別姓にしなければならないのではなく、別姓も選択できるということ。なので、それぞれの家庭の事情や個人の考えの尊重に基づくなら、基本賛成。その一方で、個人的な体験や生い立ちから別姓により子どもの心理状態や家族の絆への影響が皆無とは思えない。従ってそれを配慮したより慎重な制度設計が必要だと考える」
同姓、別姓にかかわらず家族の絆は、自分たちが責任を持って築き上げることが何よりも大切なことは、言うまでもない。