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「ボスの政治、忖度の政治が横行してきた古い議会を、新しい議会に変えていく――」

 

7月2日投開票の東京都議会議員選挙期間中、都民ファーストの会代表を務めていた小池百合子東京都知事(64)は街頭演説でこううったえ続けてきた。“大勝”をあげた都民ファーストの会は、候補者の3割以上が女性。本誌は、都議選を戦い抜いた女性候補たちを追った――。

 

「私はこの4月まで6年間、小池前代表の自宅でいっしょに住んでいました。’13年には小池さんと二人三脚で介護し、お母さん(小池恵美子さん)をみとった。家族同然に過ごさせてもらったんです」

 

こう語るのは、中野区から出馬した荒木千陽さん(35)。小池都知事の公設第一秘書を6年務めてきた彼女だが、都知事との出会いはユニークだ。小池都知事に憧れ、’11年に熊本から上京、議員会館を訪ねて思いを告げると、都知事は笑って『あなた面白いわね、明日からいらっしゃい!』と声をかけたという。公私の境なく接してくれたことに「恩返ししたい」思いが高まり、立候補を決めた。

 

「古い議会を象徴する中野区で『出馬したい』と伝えたとき、小池代表は神妙な面持ちで『よく決断してくれたね』とおっしゃったんです」

 

“旧体制を壊す”――そんな“特命”を、小池代表から受けたのだと語る。

 

小池都知事が登場すれば数千人も聴衆が集まるが、通勤ラッシュの時間帯に足を止めて聞いてくれる人はまばら。選挙戦終盤の夕刻、東京メトロ東高円寺駅前で枯れた声を振り絞るのは杉並区で出馬した茜ヶ久保(あかねがくぼ)嘉代子さん(41)。

 

「日本IBMに勤務後、’15年にキャリアアドバイザーとして独立した私は、’09年に長女(7)を出産した“働くママ”の1人です。働きながら子育てできる社会をつくります」

 

期間中ずっと「休職して手伝ってくれている」という外資系コンサル会社社員の夫・友人さん(41)の愛のサポートで乗り切った選挙戦での、小池前代表からの言葉とは――。

 

「『仕事をしている立場で、子育ても頑張っている。そんな女性の活躍できる社会作りをしましょう』とおっしゃってくれました。選挙に初めて出馬した私に『最後まで気を抜かないようにね!』と激励も。“待機児童ゼロ”は、ただ単に保育施設を増やせばいいわけではない。公園や児童施設などの地域コミュニティも充実して、育児の仕方にも多様性を持たせたいですね」

 

渋谷区で出馬した元・テレビ朝日アナウンサーの龍円愛梨さん(40)は、選挙戦をこう振り返る。

 

「選挙期間中は1人でも多くの方に会いに行きましたし、立ち止まって会話してもらえるように、極力マイクは使いませんでした。“マイクを置いたアナウンサー”ですかね(笑)」

 

彼女はダウン症がある長男・ニコくん(4)を育てるシングルマザーでもある。障害のある方たちの当事者目線で活動してほしい。アナウンサーとしてのわかりやすい発信力と、記者としての正確な取材力を活かしてほしい――そう龍円さんに声をかけていたという小池代表。新人候補たちへ送っていた“激励メール”の中身を龍円さんが明かしてくれた。

 

「《最後にグリコのガッツポーズをしている自分を想像して頑張りなさい》と。心が折れそうなときも、その言葉で闘い抜くことができました」

 

フジテレビ社員として子ども向け番組や親子イベントを手掛けてきた入江伸子さん(55)は、こう語る。

 

「都議会全体で女性は2割に満たなかったんですが、私が出馬した港区はなんと、24年間も女性都議がいなかったんです。小池代表からは『働きながら子どもふたりを育て上げた経験を活かし“女性活躍”推進に力を入れてください』との言葉をもらいました」

 

’87年に、フジテレビ記者の入江敏彦さんと結婚し、長男、二男に恵まれるが、’94年12月、夫はPKO取材中の飛行機事故で32歳の若さで還らぬ人に。しかし悲しみから立ち上がり、二児を育て上げ、長男(28)は研究者、二男(23)はフジテレビ社員として活躍している。

 

「小池代表は応援演説で『子供を立派に育て上げて社会に送り出し、自身は女性管理職にもなったんです』と声をあげてくださって……。代表の『苦しくても、最後にグリコ、グリコ!』というメールと、亡き夫の『前へ、前へ!』という精神に励まされ続けた選挙戦でした」

 

同会派の現職都議としては、江戸川区から上田令子さんが出馬した(52)。

 

「自民党に離党届を出し、退路を断った小池さん。そんな代表から、『リーダーシップを発揮して、女性の新人議員たちにしっかりと教えてほしい』と指示を受けました」

 

’07年に江戸川区議、13年に都議に当選した二児の母は、会派の中でも経験豊富で頼れる存在だ。都議選が終わった今こそ、「真価が問われる」と兜の緒を締める。

 

「選挙期間だけ有権者の方に頭を下げて、当選すれば“先生”と言われてふんぞり返っている“古い都議”など要らない。私たち『都民ファーストの会』は、新人都議も民間人として、社会経験が豊富な人ばかりですから、みんなで初心を失わず、地に足をつけて“都民ファースト”を実行していきたい」

 

都民ファーストの会の女性たちの挑戦は、いま、始まったばかりだ――。

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