ひと口にネット銀行といっても、種類はいくつかに分けられる。それぞれのメリットをよく知ってこそ、本当におトクに利用できるのだ。ネット銀行のサービスランキングなどの調査を行なっている、株式会社ストック・リサーチの大和田智美さんに聞いた。

 

「みずほ銀行の場合、ネットバンキングサービスを利用することで、ATMの時間外手数料などが無料になる『みずほマイレージクラブ』という優遇サービスを受けられます。ATMをよく利用する人にオススメですが、『月末の預金残高が10万円以上』などの条件があるので、よく確認を」

 

実際の店舗を持たず、支店もすべてネット内に存在するのが、ネット専業銀行。コンビニやほかの銀行のATMから、自分の口座に入金する。たとえば大和ネクスト銀行は定期預金で1年0.22%と、高い金利が魅力的。

 

「大和ネクスト銀行は、’12年にサービスを開始したばかりの新規銀行のため、金利は高め。コスト面でいちばん魅力的なのは、住信SBI銀行。コンビニなどの提携ATMが多く、ほとんど手数料無料で使うことができます。他行への振込み手数料も無料、もしくは150円と安いのが特徴です」

 

ネットショッピングが好きな人は、ジャパンネット銀行、楽天銀行も便利。ネットショップの多くがこの2銀行の口座を持っているので、同じ銀行間の場合、24時間いつでも振込みが可能。入金確認が早く済むため、商品発送までのロスタイムが少なくなる。

 

「また、ネット専業銀行は、ネット上での振込みに関する機能が豊富で、操作がしやすいと思います。毎月の定期的な振込みの設定や、振込み予約も簡単です」

 

ただし、振込みはネットで行うのが基本のため、ATMからは直接、ほかの銀行へ振込みができない銀行も多いので注意したい。さらに、金利だけを見た場合、ネット専業銀行よりも高いところがある。それが、地方銀行のインターネット支店だ。

 

「地銀のインターネット専用の支店では、条件付きの定期預金に力を入れているところが多いです。いちばん高いのは、香川銀行の『セルフうどん支店』。金利が0.5%と、メガバンクの定期預金(0.025%)の20倍になるものもあります。ほかに、岡山市に本店があるトマト銀行の『ももたろう支店』でも、同条件で金利0.45%のものが」

 

便利なネット銀行だが、心配なのは不正送金やパスワード盗難などの被害。警視庁の発表によると、’12年には4千800万円だったネットバンキング関連の被害額が、’13年は6月10日現在で1億2千300万円と、増加傾向に。銀行側もセキュリティ強化に力を入れているようだが、私たちにできることは? 大和田さんにポイントを3つ教えてもらった。

 

【1 月に1度はパスワードを変更する】

「ただ、頻繁に変えると管理が大変。ネット銀行の口座は、多くても3つくらいがいいでしょう」

 

【2 知らないメールや添付ファイルは開かない】

「ウイルスに感染しないためです。メールからの誘導でパスワードを盗む手口もあります」

 

【3 ウイルス対策を万全に】

「対策ソフトはなるべく新しいものに更新すること。パスワードや合言葉を何回も入力させるような画面が出たら、一度パソコンを閉じたり、ウイルスチェックにかけるといいでしょう」

 

もし被害に遭ってしまったり、変な画面が出てきたら、すぐに銀行へ連絡を。

 

「だいたいの銀行が、被害に遭ってから1カ月以内に届け出ないと補償をしてくれません。口座を放置せず、小まめに明細などを確認しましょう。最後に、パスワードを書いた付箋をパソコンに貼るなんて、もってのほかです。誰が見ているかわかりません。パスワードの管理はしっかりしましょう」

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