テレビ視聴率の低下がいわれる昨今、生放送が基本で、高視聴率が見込めるうえにスポンサーがつきやすい、スポーツ中継の重要性は増すいっぽうだ。そのなかでも、放映権料の高騰が著しいのが、五輪とサッカーW杯といえるだろう。

 

まず2月7日の開幕が目前に迫るソチ五輪。放映権料は’16年のリオデジャネイロ夏季五輪とセットで過去最高の360億円といわれる。オリンピックの放映権料高騰の推移は以下の通りだ。

 

【夏季五輪放映権料】

●‘96年アトランタ[107億7000万円]

●’00年シドニー[144億4000万円]

●’04年アテネ[173億5000万円]

●’08年北京[197億7000万円]

●’12年ロンドン[266億5000万円]

 

【冬季五輪放映権料】

●’98年長野[46億8000万円]

●’02年ソルトレークシティ[49億4000万円]

●’06年トリノ[45億3000万円]

●’10年バンクーバー[58億5000万円]

 

「東京五輪の放映権は、’18年の平昌(ピョンチャン・韓国)冬季五輪とセットになる。物価の上昇などを考慮し、前回大会から10%アップした、400億円程度から交渉が始まるのが相場。IOC新会長のトーマス・バッハ氏は野球やソフトボールの復活をちらつかせているが、これもさらに金額を釣り上げる材料にされるだろう。そう考えると、放映権料は450億円あたりの攻防戦になる。下手すると500億円にまで吊り上るだろう」(スポーツプロデューサー・杉山茂氏)

 

また、今年もうひとつのビッグイベントがブラジルで6月に開催される、サッカーW杯だ。W杯の放映権料の高騰の推移は以下の通り。

【サッカーW杯放映権料】

●’98年フランス[5億9000万円]

●’02年日本・韓国[201億円]

●’06年ドイツ[150億円]

●’10年南アフリカ[170億円]

 

「多少、赤字でもW杯はキラーコンテンツ。テレビ局側としても絶対に放送したいもの。直接の交渉はFIFAから放映権を買い入れている電通とおこなうが、値下げは難しい。ブラジル大会の放映権料は250億~270億円程度になるだろう」(杉山氏)

 

日韓大会では、CS放送のスカイパーフェクTV!が全試合無料中継をし話題を呼んだ。だが今年のブラジル大会、スカパーは「支払う放映権料に、収支が見合わないという経営判断をした」(広報)ということで放送から撤退。

 

だが、前回南ア大会の収支が赤字だったと公に認めながら、メンツもあり民放は中継から撤退できない。リオ大会の64試合は、地上波のNHKと民放で32試合ずつ中継される。お祭り騒ぎの裏で、苦しいチキンレースは続いていく。

 

(週刊『FLASH』1月21日号)

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