「たしかに格安中古物件はお買い得ではありますが、一戸建てはまず、耐震性について確認してほしいですね。築40年〜50年の物件となると耐震基準も古いですから、大地震が来たときの備えを考えて、補強したほうがいいと思います」

 

こう話すのは、不動産コンサルタントの長嶋修さん。都心に億ションがボコボコ建つ一方で、格安の中古住宅がお手ごろだと見直されている。だが、こうした格安中古物件には注意すべきポイントがあるという。耐震性もそのひとつだ。

 

「とりあえずは耐震診断をすることをおすすめします。自治体によっては、耐震診断の補助金が出るはず。それから、上下水道と雨漏りに注意。古い建物は上下水道の配管が鉄でできているので、空き家の期間が長いと赤さびが出たり、少しずつ水漏れしたりと、交換費用がかかるケースも。内見で水道を流してみてください」(長嶋さん)

 

そして、都心の格安中古物件で何より気を付けるべきなのが、火災対策。

 

「都心の住宅地では木造住宅が密集しています。自分が出してしまうだけでなく、もらい火ということもあります。自治体によって、防災の備えをどうしているか、役場で尋ねてみることです」(長嶋さん)

 

一方、中古マンションについての注意点はどうか。ある不動産ジャーナリストが、こんな話をしてくれた。

 

「築40〜50年以上の中古マンションは、建て替え予定がいつなのか把握して、購入を検討する必要があります。建て替えでは多くの場合、各世帯に追加の負担金が課せられることになります」

 

払えない場合は、管理組合に部屋を買い取られ、退去せざるをえないことも。前出の不動産ジャーナリストはこう続ける。

 

「私の知っているケースでは、築25年の中古マンションを購入した方が、入居して初めて、建て替えプランが持ち上がっていることを知らされたそうです。住宅ローンに加えて追加負担金が1千500万円も課され、もう払えないと泣く泣く退去したとのことです」

 

物件選びの際はホームインスペクター(住宅診断士)と呼ばれる建物のプロに同行してもらい、物件の状態について意見をもらうという手もある。不動産は大きな買い物。どんなに安くても、慎重を期すことが大切だ。

関連カテゴリー: