「モラルハラスメント(以下・モラハラ)はパートナーだけでなく、家庭にも大きな負の影響を与えます」

 

そう話すのは、モラハラ専門の心理カウンセリングルームを開設する心理士・行政書士の佐藤千恵さん。佐藤さんは、3年間でなんと1千200件以上のモラハラの相談を受けている。女性専門を掲げているため、件数はすべて女性からのものだ。

 

このところ、巷で話題のモラハラ。有名人によって注目を集めることになったモラハラだが、その被害に遭うは何も妻だけではないという。では、どのような影響が出るのか?佐藤さんが解説してくれた。

 

「特に注意が必要なのが子供たちへの感化です。父が母に行うモラハラを子供のころから見て育つことで、潜在的に家庭像が育成されてしまうのです。子供なりの学習です。パートナーにはこう接すればいいのだ、と。そして、自分が大人になって結婚したときに、父と同じことを行ってしまうわけです」

 

こうしてモラハラ夫のいる家庭では、いびつな家族が形成されてしまうことになるというのだ。また、モラハラに詳しい淡路町ドリームの松江仁美弁護士は次のように語る。

 

「被害者(母)が加害者(子)を育てているということです。日本は先進国の仲間入りをしたとはいえ、女性の人権や人間としての尊厳の意識は遅れています」

 

日本の女性は強くなったといわれて久しいが、一般的な観点から見ると男性の意識はまだ旧態依然なところがあり、女性も男性にもたれている部分がある。

 

「どこかに甘えがあるんですね。いずれにしても、モラハラを考えるときに女性の自立と子供をどう育てていくか、という部分抜きには語れません。子供への悪影響は計り知れないのですから。もしモラハラを受けている女性がいるなら、解決を先送りしないことです」(松江弁護士)

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