3月8日に逝去された塩月弥栄子さん(享年96)。その著書『冠婚葬祭入門』シリーズは、’70年に初版が刊行され、合計で700万部を超える大ベストセラーに。昭和の時代の「しきたりやお作法のバイブル」は、平成のいまもなお、確実に私たちの「?」に答えてくれる。そのエッセンスを抽出して、お届けしたい。

 

《婚》とは?

まったくの他人が縁あって末永く生活をともにする契り(約束)の式ですから、もっとも慶祝すべき盛儀です。結婚式は、2人で心を戒め、同時に社会に対して、2人が共同で新しい生活を始めることをはっきりと表すものです。ですから、虚飾(体裁や見栄)にとらわれることなく、内容のあるものにしたいものです。

 

【1】結婚は2人の責任においてするものである

結婚を最終的に決めるのは自分自身、本人同士です。たとえ、どんな経緯があってたとしても、結婚を決定したその責任は、自分たちが負わなければなりません。

 

【2】心のこもらないセレモニーはやめる

演出過剰の披露宴など、まったくナンセンス。日ごろの2人でない、異常で心のこもらないセレモニーは、思い切ってやめたいものです。

 

【3】披露宴の客は、主賓以外は略礼装でよい

披露宴に招かれた客の立場が、新郎新婦の目上、上司、恩師、親の友人などで、宴席の上席に座る場合は、格式のある装いでなくてはなりません。同僚、友人、後輩の立場で下座の席なら、略礼装でかまいません。ミスの場合、訪問着でもけっこうです。

 

【4】来賓として挨拶するときには、はじめに新郎新婦に「着席のまま」という

来賓として最初に挨拶を述べることになったら、「ほかの先輩やご年長の方もいらっしゃいますのに、誠にせんえつで……」と断ります。新郎新婦は起立して受けるのが礼儀ですが、来賓は挨拶をする前に「どうぞおすわりになってください」と着席してもらいましょう。

 

【5】乾杯は、飲めなくても口をつける

乾杯の音頭は、祝辞を述べた来賓にお願いする場合や、来賓とは別の人にお願いする場合などがあります。来賓の中でいちばん格が上の方に祝辞をお願いし、乾杯の音頭は次席なり長老なりにとっていただくのがいいでしょう。

 

【6】披露宴のお祝いの言葉は、1分を超えないこと

まず言葉使いを明確に。話した意味がすぐわかる、やさしい言葉で話すことが第一です。スピーチの時間は、1人1分(実質50秒くらい)のつもりで用意すればよいと思います。

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