「飲酒が原因の死亡者数と死亡率を調べていた米国疾病対策センターが、アメリカでは、毎日6人が、お酒が原因で亡くなっていると発表しました。お酒がきっかけで亡くなるというとアルコール依存症が悪化して、と思われるかもしれません。しかし、この報告ではわずか3割。7割は急性アルコール中毒というのです」
そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生。この時期になると、大学の新歓コンパで大量のお酒を飲んだ学生が、救急車で運ばれるニュースをよく耳にする。
「そんな学生と同じ急性アルコール中毒で、アメリカでは毎年2千人以上が命を落とすというのです。しかも、その死亡者は、35〜64歳が8割近くを占めており、若者の暴飲ではなく、酒量の限界を知っていそうな年齢層というのも驚きです。お酒の耐性が高いアメリカ人でさえ、これだけの人が毎年亡くなっていることを考えると、お酒に弱いといわれている日本人は……詳しいデータはありませんが、相当な数になるでしょう」
「百薬の長」というお酒も、過剰な摂取は禁物。命を落とさないまでも、「お酒の飲みすぎは、自律神経のバランスを崩す最悪の生活習慣だ」と、小林先生は言う。
「そこでお酒と上手な付き合い方が必要になります。ふだん、仕事で会食をする機会が多い私は、気をつけていなければ、飲みすぎてしまうことが少なくありません。とくにおいしいワインに出合うと、ついついグラスが進んでしまいます。そのためワインが出ない会食のときは、飲酒をやめ、休肝日を作るようにしています」
とはいえ、相手がいることなので、なかなか断わりづらいもの。
「そんなときはあえて車で会食に行くようにしています。運転があるならば、相手も勧められませんからね。ワインを飲むときも、体内の脱水予防のため、同じ量の水を飲むことは忘れません。おいしいお酒は、疲れを癒してくれる存在。適度な量と健康な体で楽しみたいですね」