「心を殺して学校へ通うこともできたかもしれない。けれど、高校2年に進級するとき、あと2年もこの学校で過ごすことは耐えられないと思い、やめました」

 

当時のことをこう振り返るのは、大阪府堺市に本社を置く青果販売業アドバンス社長の桐あゆみさん(27)。地元・神奈川県下有数の進学高に進んだが、天敵の存在が。

 

「ずっと微妙な関係だったコと一緒になることが多くなってしまって。学校に1人はいる妙に権力を持っちゃうタイプのコですね。クラスまで同じで、違っていれば中退していなかったかもしれません。仲間内からは冷たくされ、翌日にはクラス全員、その後は、教師や保健室の先生にまで素行のことで誤解され、注意を受けていました」

 

救いはアルバイト先だった。「ただ時給のためだけに働くならほかへ行ってください」というスタンスの居酒屋チェーン店で「過酷だと批判する人もいますが、私には合っていました」。

 

大人の世界は同年代の軋轢を忘れることができた。高校2年に進学時、退学届を出し、バイトに励んでいたが、ある日母親が血相を変えて乗り込んできた。「バイトばかりやってるんじゃない!」と馬乗りになって殴られた。「お嬢さま育ちの母にそこまでさせてしまった罪悪感がありますね」。

 

その夜帰宅し、言い争いに。「私のことが嫌いなら出ていきなさい!」の売り言葉に、荷物を紙袋2つにまとめて家を出た。「もう甘えることはできない」と決意し、結局「それから11年、帰っていません」とのこと。

 

ここから、彼女が人生を立て直した4つのポイントを紹介しよう。

 

〈1〉学校をやめたら、何か1つでも社会で使える「武器」をつくる

「私の場合は偶然友人に勧められた留学で、英語が好きになりアメリカで働きたいと思いました。学校をやめたら何か1つでも学び続けることが大切ですね」

 

彼女は居酒屋チェーンと夜のキャバクラというダブルワークをこなし、使う暇もなくお金がたまっていった。そしてラスベガスに短期留学。1カ月で帰国するころには、次の渡米を計画していた。

 

〈2〉目標を思いついたら何年も先までのスケジュールに組み込む

「何年も先の目標を達成するには、なんらかの形で予約をしてしまうこと。私の場合は2年先の留学の申し込みをして、ローンも組んでしまい、働いた給料から引き落としにしていました」

 

〈3〉多少お金が入ってきても生活の質を上げずにためる

「働けばお金はそれなりにはいってくるけれど、それで生活のレベルを上げると、結局お金はゼロに。自立して生活するためには、蓄えも必要なので、モノをふやしたり、生活をぜいたくにしないことです」

 

再渡米し、親の資金で来ている豊かな学生を横目に、ベーグルをかじりながらインターンシップで働くなどしたが、1年後資金は尽きた。帰国しようとしたとき「英語を生かして働きたい」と思い立ち、日本での働き口をウェブで探して、「学歴不問」「海外」のキーワードで検索。ヒットした唯一の営業会社に入社した。

 

〈4〉学歴不問で人間を見てもらう

「留学先から応募した会社は実力、やる気を重視してくれるとのことで就職。その後、縁があり起業に至りました。学歴がウリにできないのなら、やる気と実力で勝負するしかありません。なので、手抜きをしたり、サボったりする人とは離れるようにすること」

 

フルーツの飛び込み営業で、メキメキ営業成績を上げ、海外を飛び回る社長の後押しもあり、24歳でフルーツの営業・販売会社を設立し起業を果たした。一般・法人向けに販路を広げ、社員15人を抱える。

 

いじめに耐えた日々は遠い昔。フルーツにかける日々を送っている。