「写真/AFLO」
「韓国では“MERSパニック”が沸き起こっていますが、日本国内でも急速に危機感が高まっています。ウイルスを防ぐような高性能マスクや、除菌スプレーなど、メーカーへの注文も増加中です」(医療ジャーナリスト)
隣国・韓国で猛威を振るっているMERS(中東呼吸器症候群)。8日に韓国保健福祉部が「第1次の流行は終息した」と発表したものの、いまだに多数の感染者や隔離者がいる。
「高齢者、それに糖尿病・腎不全などの病気を持つ人が発症すると、重症化する傾向があります」(前出・医療ジャーナリスト)
MERSが“猛毒”と恐れられているのは、その致死率の高さからだ。WHO(世界保健機関)によれば、6月1日までの統計では、全世界の感染者数が1154人対して、死者は434人。致死率はなんと40パーセント近くにのぼるのだ。
「新しい病気ということもあり、残念ながら現状ではMERSコロナウイルスに対するワクチンや特効薬は存在していないのです……」(感染症危機管理学を専門とする東北大学大学院の中島一敏講師)
よって、感染しないことこそが“最大の防御”になるのだという。関西福祉大学の勝田吉彰教授は言う。
「とにかくパニックにならず、正しい知識を持つことが必要です。MERSは、せきやくしゃみなどによる“飛沫感染”がほとんど。もし韓国などに渡航予定ならば、感染者が収容された病院に近づかないのは大前提ですが、人ごみも避けたほうが安全でしょう。マスクをかける、こまめに手を洗うといったことは、基本的なことですが、効果は高いのです」
食べ物に対する次の2点も重要だという。
①生肉や乳などの、加熱の不十分な食品や、不衛生な状況で調理されたような料理は食べないようにする
②果物や野菜は食べる前によく洗う
「さらに厚生労働省のホームページでは、《せきやくしゃみの症状のある人や動物(ラクダを含む)との接触を可能な限り避けましょう》と、中東地域を旅行する際の注意を喚起しています。これらの方法は、基本的には海外渡航が前提になっていますが、もちろんMERSが日本に上陸した際も効果を発揮します」(前出・医療ジャーナリスト)
正しい知識と冷静な対処が運命を分ける――。