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第二次世界大戦の終結から70年という、大きな節目を迎えた’15年。そこで、本誌は戦後70年に見たい作品を、著名人に薦めていただきました。

 

「私が『禁じられた遊び』を初めて見たのは、小学4年生のころでした。以来、大人になってからも何度も何度も……。見るたびに、子供たちの周囲にいる大人たちの考えとか、いろいろなことがわかってきて、内容がより深く理解できるんです。名作とはこういう作品を言うんだな〜、と思いますね。それと、あの物悲しいギターのテーマ曲。あの曲を聴くだけで涙が出てきます」

 

テーマ曲を聴くと、今でも主人公の少年・少女のあどけない顔が浮かんでくると語るのは、キャスターの吉川美代子さん(61)。映画の舞台は、フランスの片田舎。戦場シーンや兵士はほとんど出てこない。農村の少年・ミシェルや彼を取り巻く人々と、ドイツ軍の機銃掃射で両親を殺された少女・ポーレットとの純真な交流を描いた世界的な名作と呼ばれる映画だ。

 

「戦争のシーンは、少女の両親が殺される冒頭の部分だけなのですが、見終わった後に『戦争って、こんなにつらくて悲しいものなのか』と、はっきりとわかる作品です。『戦争はNO!』とか、主人公が声高にそういったセリフを言うこともありません」

 

この映画と、安保法制で揺れる今の時代背景との接点について、吉川さんは次のように話す。

 

「戦争は、戦場に行っている兵士だけでなく、非戦闘員の生活までも変えるということです。ひとたび戦争が起きると、そこに暮らしている人たちの人生もすべて変わる。その国全体が危機にひんすると考えたほうがいい、と私は思っています。この映画でいえば、あんなにあどけない子供たちが、戦争に巻き込まれているわけですからね」

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