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第二次世界大戦の終結から70年という、大きな節目を迎えた’15年。そこで、本誌は戦後70年に読みたい作品を、著名人に薦めていただきました。

 

「国民の声を無視して解釈改憲を強行した安倍総理は、もはや独裁者。ヒトラーに等しい希代の暴君です。絶対に許してはいけません」

 

太平洋戦争で関東軍第731部隊が他国民に対して犯した残虐行為を告発したノンフィクション『悪魔の飽食』でも知られる、ミステリーの大家・森村誠一さん(82)は、開口一番、安倍政権への怒りを吐露した。

 

クールな森村さんがこれだけ感情を露わにする根拠が何なのかは、推薦する本のテーマからおのずと見えてくる。

 

「まず、『特攻基地 知覧』(高木俊朗著)。鹿児島県の知覧特攻基地から太平洋戦争末期、多くの若者が飛び立ち、戦死しました。17歳の少年を短時間で特攻にし、片道切符しか与えない。その愚行と隊員たちの思いを取材した高木さんが綴っています。次に『きけ わだつみのこえ』(日本戦没学生記念会編)、『海軍予備学生』(蝦名賢造著)。次代を担う学生を、卒業年度を繰り上げて戦場に送る。国家に翻弄された若者の思いに胸が締めつけられます」

 

次に挙げられた戦記『大空のサムライ』(坂井三郎著)は、ほかとは趣きが異なる1冊。

 

「『撃墜王』と呼ばれた坂井三郎さんは、60機以上の敵機を撃墜し、生き残りました。彼は亡くなった戦友たちのため、生き残った自分が経験を伝え続けるという使命に駆られました。その悲壮な心理状態も、戦争の本質なんです」

 

そして、開戦時に8歳だった森村さんの実体験に基づく大作が、『ミッドウェイ』だ。主人公の海軍中尉は、島崎藤村や立原道造の詩を愛する少年だったが、時代の流れの中で海軍兵学校に進学、詩人への夢を断ち切り軍国青年に変貌してしまう……。

 

「青春の可能性は未知数。ところが安倍政権下でそれは、限りなく少なくなるでしょう。もはや若者に青春はなくなるんです。『国のために死ね』との命令に歯向かえないという、馬鹿げた時代に二度と戻してほしくないというのが、この『ミッドウェイ』に込めた私の願いです」