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「日本人の2年連続ノーベル物理学賞受賞は世界を驚かせましたが、これは、30年前に日本が世界でも物理分野の研究でトップを走っていたから。実は日本には、まだまだ世界を驚かせるような研究があるんですよ」

 

こう語るのは、サイエンス作家の竹内薫さん。竹内さんは、世界に誇れるニッポンの研究はほかにもあるという。そこで、まだまだ知られていない、実用化の夢が膨らむ“ニッポンの大研究”を紹介!

 

【ミュオグラフィ】

人体内部をX線で透視するレントゲンのように、外から見えない“火山の内部”を見るための研究をしているのが、東京大学地震研究所の田中宏幸教授だ。

 

「ミュオンという宇宙から降ってくる素粒子を使い火山を透視する研究は、災害対策に使われています。高性能の検出器を開発したことにより、火山を透視したミュオンのデータをイメージ化することが可能になり、火山内部のマグマの動きがリアルタイムでわかるようになりました。これまで火山噴火の時期は観測によってある程度はわかってきましたが、噴火の規模を予測するのは難しかったのです。’13年に薩摩硫黄島に噴火警報が出たときには、このミュオグラフィを撮影し、何度か繰り返す噴火になるという予測が立てられました」(前出・竹中さん)

 

【マグネシウム空気電池】

マグネシウム空気電池は、空気中の酸素を利用する空気電池のひとつで、マグネシウムに水を加えて酸素と反応させて発電する。これを災害時の電源として実用化したのは、小惑星探査機はやぶさの電池も開発した古河電池。福島県いわき市の工場が被災したことが、開発のきっかけになっているそう。

 

「震災時に命にかかわることもある携帯電話の電池切れをなくすために、この電池を開発しました。マグネシウムの入った紙製の容器に水を2リットル入れるだけで発電できる電池を異業種連携で作りました。未使用で10年間保存ができ、海水や泥水でも、スマートフォン30台分の充電が可能です。世界で初めての紙製なので、個人でも容易に破棄することができます」(古河電池企画部)

 

【水と炭酸ガスで石油ができる】

9月18日。今中忠行京都大学名誉教授は会見で、炭酸ガスを水と合わせることで、石油を合成する研究成果を発表した。高温高圧の条件で同じような化学反応を起こさせて石油を合成する仕組みは、すでに1920年代にはドイツで発表されている。しかし、この研究では常温常圧の条件での合成に成功。すでに学会誌にも論文を発表し、特許も申請中だという。

 

「水と石油をよく混ぜたものを活性化させ、そこに炭酸ガスを加えます。そうすると化学反応が起きて水と炭酸ガスが石油に変化するのです。今は、化学反応が起きやすい状況を作っただけで、まだ石油ができるメカニズムは詳しくは解明していません。しかし、これまでに何十回も石油の合成に成功しています。今後の課題は、実験室レベルから規模を大きくして、産業用に使えるようにすることです。実用化すれば、どこにでもある水と炭酸ガスを使うのでコストもほとんどかかりません。この安い燃料を発電に使うことができれば、電気代も安くなりますね」(今中忠行京都大学名誉教授)

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