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生活の激変で急激に収入が減ることは十分、ありえることだ。しかし、対処の仕方によっては豊かで、シンプルな暮らしを手に入れるチャンスなのかもしれない。そこで、生活縮小(ダウンサイジング)を余儀なくされた人たちに、急激な収入減を乗り切った知恵を聞いた。

 

「ラーメン屋1軒で年商3億円の“記録”はいまだ破られていないって、この間も税務署の人に言われましたよ。たしかに住宅地で深夜のみの営業でしたからね」

 

東京・世田谷の住宅街に深夜の大行列を生んだ「なんでんかんでん」は’90年代豚骨ラーメンブームの火付け役。名物社長として川原ひろしさん(51)は異色の投資番組『マネーの虎』に出演し、大実業家のイメージが定着した。

 

「予選落ちして出られなかった人が直接来店して投資をたのまれることもありました」と川原さん。自分の貯蓄や資産の残高はあまり気にしないという。

 

「儲かりすぎてからは真面目な親父の会社に経理を任せて、売り上げを全て振り込んだ。僕はそこから給料をもらい嫁さんに渡していました。当時は交際費1晩100万円を使ったことも。個人的にはちょっとぜいたくができたらいいくらい。昔のアメ車が好きで中古車はガソリンをくうから、ラーメン1杯をよくガソリン代に換算していました(笑)」

 

明太子で有名な「ふくや」の創業者を大叔父に持つ川原さん。事業センスは血筋から?と聞くと首を横に振る。

 

「社長というより僕は根っから芸人とか歌手なんですよ」

 

「なんでんかんでん」は豚骨ラーメンが珍しかったこともあってブームは15年ほど続いたが、昨年、自ら手仕舞いを決断。売り上げが増えるほど、投資や保証人の依頼も増え億単位の借金を抱えていた。店舗を増やしたことで味のレベルを管理しきれなくなったことも理由だ。

 

「最高3億円に膨れ上がった借金はいま5千万円に減りました。いまは接客コンサルティングの収入と芸能活動で40万円くらい。でも今年中にまた別の形で再開しますから楽しみに」

 

意気軒高だが、かつてのような投資話はさすがにない。

 

「いまはダウンサイジングの時期ですから見えは張らないのがいちばん。山手線の中にも滅多にいかないし、テリトリーは庶民的な商店街で、大衆居酒屋が好き。10人におごってもたかが知れてます。どうも実業家のイメージが強くて金持ちだと思われている。そうなるとまた投資話や保証人のお願いが来ちゃうから服装はラフに。たいていこの店名の入ったトレーナーですよ」

 

最近、少々痩せようと健康器具「ワンダー」を購入したところ、妻からは「そんなのは置いてはダメ!」とNGを出されてしまったとも。

 

「きれいに片付けるのが好きで、変なものを置かせてくれない人です。なので衝動買いは極力しないんですよ」

 

そんな川原さんの今後は?

 

「芸能活動はもちろん、ハングリーな経営者の卵たちとビジネスセミナーを開いたり、『なんでんかんでん』が成功した秘訣を伝授する本の出版、飲食コンサルタントなどをやっています。大学生の長男には、どんな仕事にも役立つから若いうちは、接客の仕事を勧めています。それでいま彼は『俺の割烹』でバイトしてますよ」