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《何の事実もない事を報道され、私たちは、子供を失った上、悲しみや背負わなくてもいい辛さを感じ、それにたえています》

両親の虐待を児童相談所に訴えたが保護を受けられずに自殺。そうセンセーショナルに報じられた相模原市の中学2年生・Aくん(14)の母親が本誌記者に書いた手紙には、そう書かれていた――。

 

《児童相談所保護せず 中学生自殺》《両親から虐待 何度もSOS》

 

こんな大見出しが躍った、3月22日の読売新聞の報道で一気に火が付いたこの事件。だがAくんの自宅近所を取材すると、虐待の影は薄い。

 

「ご両親は、きちんとした方ですよ。お母さんは真面目で子育てに熱心な感じです。お父さんも真面目そうな方。Aくんは、元気に挨拶する普通の子でした。服装もきちんとしていたし、家から叫び声や怒鳴り声も聞いたことがないです。“虐待”というのはニュースで初めて聞きましたが、全然そんな感じはしませんでした」(近所の住人)

 

母親はAくんの実母だが、父親とは再婚。Aくんと弟を連れての再婚だったという。Aくんの中学校の部活の先輩にも話を聞いた。

 

「同じ野球部でしたが、明るくて野球が大好きで熱心に練習していました。朝7時半からの朝練にもきっちり来ていたし、礼儀正しくて挨拶もしっかりしていました。2年ほど前に、顔にあざがあったことはありました。下校のときに『親にやられちゃった』と話していたのを覚えています。でも理由も言わなかったし、“虐待”と本人は言ってなかったので、Aくんが虐待されていたと言っていたことは、ニュースで初めて知りました」

 

新聞報道で一気に広まった「両親による虐待」は本当にあったのか。本誌は、Aくんの両親に何度も取材を依頼した。最終的に、「マスコミには今後一切お話ししないと決めました」と丁寧な断りの返事をもらったが、「この手紙を読んでください」と母親から一通の手紙を預けられた。手紙を読んだ記者は驚いた。きれいな字で2枚の便箋に記されていたのは、報じられてない意外な真実だった。

 

冒頭で紹介したとおり、手紙の中で母親は、“虐待報道”を「何の事実もない」と否定していた。代わりに記されていたのは、子を失った母の悲しみだ。

 

《次男がいるからこそ、生きておりますが、長男しかいなかったとしたら、私達が今、生きている事はなかったと思います》

 

さらに、手紙には意外な事実も記されていた。火付け役となった読売新聞の記事に、じつは、両親は事前に取材協力していたというのだ。

 

《読売新聞の××さん(原文では実名)という方が家に来ました》

《今後の児相のあり方を世間に考えて欲しいのでAの死をムダにしてはいけないと…》

そう口説かれた両親は、

《私たちのようなステップファミリーも多くなっている世の中ですので》

と、この読売記者に「すべてを話した」という。だが、

《××さんに言われた事を前向きに受けとめた結果、このような状況になりました》

待っていたのは世間からの一方的なバッシングだった。

 

母親は本誌記者への手紙に、“読売の記者に話を聞いてほしい”と書いていた。

そこで、その読売の記者に電話したが……。

 

「誰にこの番号聞いたの? Aさん? 誰それ?」「どこの雑誌?」「あのさ、こっちも仕事で取材したことは話せないってわかるよね?」。

 

そう言うと、一方的に電話を切られてしまった。手紙の最後、母親はこう書いている。

 

《私達は報道により、今までの生活を1日でなくしたのです》

この悲痛な声をどう思うか、それだけでも確かめたかったのだが――。