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女性のさらなる社会進出と、平等とはとても言えない待遇の改善を期して「男女雇用機会均等法(以下、均等法)」は施行された。それから30年。この春からは「女性活躍推進法」もスタート。あのころと今、何がどう変わったのか?

 

「入社して3年間は、寝る前に、明日は会社に行きたくない。もう続けられないと思っていました(笑)」

 

そう語りながら、柔らかい笑みを見せたのは、キリンのグループ会社・キリンエコーの丸山千種社長(52)。’86年に4年制大学を卒業後、均等法元年に入社した第1期生の丸山さんはキリン初の女性営業社員。当時、配属された支店には約200人の営業がいたが、女性はわずか5人だけだったという。

 

「ビールの営業で、担当地域の酒販店を1人で回るのですが“なんで女性が”と軽んじられ、会ってくれない店主の方も。商談さえできない日々が続く中、男性の営業社員は、お得意様と夜遅くまで飲みに行ってどんどん売り上げを伸ばしていく。男性社員と同じようにお得意様とお酒をご一緒したり、深夜まで仕事をしても成績は上がらず。“だから女性はダメだ”と言われているようで嫌でした」

 

転機は3年目。何度足を運んでも、一度も会ってくれなかった酒屋の店主だった。

 

「店頭の棚を整理する姿を見て“よく頑張っているね”と声をかけてくれたんです。そのひと言から信頼が築けたことが大きかったですね。それまで肩肘張っていたのが、少し楽になりました。男性社員の営業スタイルとは違う、自分にしかできないスタイルがあるんじゃないかと思うようになったんです」

 

こまやかな気配りと誠実さ。夜遅くまで働き続ける情熱。ほんわかと語り続ける丸山さんには、もっと話を聞いてみたくなる魅力がある。

 

「働きやすさとは、制度で変わるものではないと思います。男女など関係なく、自分でその環境を作っていくこと。社会が変わってきたことで、女性にもチャンスが広がっているかもしれませんが、チャレンジし、一歩踏み出すことが大切だと思います」

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