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(写真・AFLO)

待ちに待った夏のボーナスシーズン。だが6月23日、英国がEU離脱を決定。これによりアベノミクスが進めていた円安はまたたく間に逆戻り。一時は1ドル=99円と2年7カ月ぶりの高値をつけた。その影響は各国に波及。世界経済の先行きも不安視されている。

 

そんな空気のなか、本誌はお騒がせ企業を中心とした日本企業50社を総力調査。経済団体の発表や労働組合への取材などをもとに、各社35歳モデル社員への支給額を本誌で独自に算出。さらには今後の見通しまでを分析した。

 

景気を先取ると言われる鉄鋼業では新日鐵住金が71万円とすでに昨年よりも下げてきているという。そんななかトヨタ自動車は堂々の148万円だが、同じ自動車業界でも日産が112万円、スズキが95万円、三菱自動車が85万円と格差が生じている。経済部記者は語る。

 

「日産はフランスのルノーと提携しているためアベノミクスの失速傾向、そして英国のEU離脱のダブルパンチになるのです。輸出メインの製造業は好調でしたが、円高になれば海外で商品が売れにくくなり消費に影響。それは4月に燃費データ改ざんが発覚した三菱自動車も同じ。こちらは不正も合わせてトリプルパンチ。見通しはかなり暗いでしょう」

 

またEU離脱の影響で大幅な為替変動に振り回されているのは金融業界。野村HDは145万円だが、やはり今後の見通しは暗いという。さらに急速な円高は日本に来る外国人にとって大きなデメリットとなる。中国人の爆買いが終息したと見る専門家も少なくないなか、これらの業種もいい話は聞こえてこない。

 

「帝国ホテルは72万円など、外国人観光客による日本国内での消費は順調な伸びでした。これはこれまで円安だったことによる影響もあったでしょうが、今回のEU離脱による円高への反発で今後は減速が予想されます。82万円の富士通や80万円のNEC、70万円のイオンリテールも、海外での競争力が落ち込むため先行きは厳しいです」(前出・経済部記者)

 

かつて世界の亀山と液晶テレビを誇っていたシャープも今年、台湾の鴻海に身売りされた。ボーナス額も30万円とかなりの低さだが、前出の経済部記者はこう語る。

 

「シャープは今年の春闘でも電機連合の統一要求から離脱。単独でボーナス交渉を行った結果、夏冬それぞれ1カ月分で合意しました。しかし経営母体が外資の鴻海に変わったことで、この合意もどうなるかわかりません。今後の経営状況の推移によっては、さらなる減額、または0円回答になる可能性もあり得るでしょう」(前出・連合関係者)

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