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『「撮影/加藤順子」』

 

「想定を超えている。あまりいい数値が出ないだろうという不安もあったが、その不安を超える数値が出てきて、驚いている……」

 

1月14日、築地からの移転が延期となっている豊洲市場の最新の地下水調査結果が公表され、有害物質のベンゼンとヒ素が検出された。なかでもベンゼンは、環境基準の79倍という驚くべき数値。これを受け、小池百合子東京都知事(64)が厳しい表情で冒頭のようにコメントした。

 

食の安全をはじめ、さまざまな方面で再調査され、都民のみならず、国民の関心を呼んでいる市場移転問題。都知事は夏の東京都議選の争点に「市場移転問題の究明」を前面に打ち出すことを宣言。「移転中止」に一歩近づいたのではという見方も。これに勢いづけられたかのように、築地市場の魚河岸の女将さんたちが結集し、市場移転を食い止めるため、動き出した。「築地女将さん会」を結成したのだ。

 

「移転に反対で築地改築が持論だったのが小池さん。彼女が移転を延期したからこそ、今回の調査結果も公表された。そうでなければ昨年11月に豊洲は開場し、有害物質も隠蔽されたままだったかと思うと、ゾッとする。小池さんの決断力に感動した私たちも『悪いことはハッキリ言わなきゃ!』と、行動することに決めたんです」(「築地女将さん会」代表で鮮魚仲卸「樋徳商店」女将の山口タイさん・74)

 

1月20日現在、会のメンバーは30人。今後は、《豊洲新市場への移転計画の中止を求める請願書名》を、各店の代表者のみならず従業員、お客さんもふくめて大規模に展開していくという。

 

「世間知らずだった小娘の私が、この家に嫁いで50年になりました。仲卸は漁師が取った新鮮な魚を少しでも高値で買って、お客さんには少しでも安くお売りするのが役目。その築地の文化を心から愛していますし、息子たちも頑張ってくれている。私たちの思いを、築地女将さん会の署名活動などを通じて、小池都知事に直接届けていきたいですね」(山口タイさん)

 

食の安全、そして築地の未来を守るため、女将さんたちの闘いは続く。

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